株式会社給与アップ研究所は2023年5月1日、「管理職の賃上げに関する実態調査」の結果を発表した。調査期間は2023年4月18日~19日で、直近10年以内に給与への不満を理由として転職を行った管理職(役員・部長・課長相当)102名より回答を得た。これにより、管理職の昨年度と本年度における給与の変化や、人事評価報酬制度に関する意向が明らかとなった。
成果で給与が変動する“人事評価報酬制度”に「反対」の管理職は1割未満。優秀人材の退職リスク回避に効果的か

昨年度よりも給与が「上昇」した管理職は6割にのぼる

昨今、物価高への対策や人材確保のために賃上げを実施する企業も多いが、管理職の給与に変化はあるのだろうか。はじめに給与アップ研究所は、「昨年度と本年度を比較し、自身の給与(月額のベース賃金)は上昇したか」を尋ねた。すると、「大幅に上昇した」が18.6%、「上昇した」が47.1%で、合計65.7%の管理職が昨年度と比較して給与が上昇していることがわかった。
昨年度と本年度を比較し給与は上昇したか

約7割の管理職が人事評価報酬制度に「賛成」の意見

次に同社は、「成果が上がらなければ給与が下がるリスクはあるが、成果が上がれば従来より大幅に給与が上がる可能性がある人事評価報酬制度について、賛成・反対どちらの立場か」を尋ねた。その結果、「非常に賛成」が22.5%、「賛成」が45.1%で、2回答の合計は67.6%だった。管理職の約7割が、人事評価報酬制度に賛成しているようだ。一方で、「反対」は4.9%、「非常に反対」は2.9%と、反対する管理職は7.8%にとどまった。

また、人事評価報酬制度に「賛成とした理由」を尋ねると、「貢献度を適正に評価するべきだから」や、「わかりやすい指針が必要だから、目に見えて頑張りが評価されるのはとてもよい」などの声が聞かれたという。

対して、「反対とした理由」を尋ねたところ、「評価が下がれば結果的に辞めざるを得ない。暗に退職してくれといっているようなものだから」や、「給与が安定しないから。評価は絶対に公平にできないと思う」などの声が寄せられたとのことだ。
人事評価報酬制度について賛成・反対どちらの立場か

賛成派の半数以上が「大幅な給与上昇の可能性があるなら全く問題なし」と回答

続いて同社は、人事評価報酬制度に「賛成」との回答者に、「給与が下がるリスクについてはどの程度許容・受け入れをしているか」を尋ねた。すると、「大幅に給与が上がる可能性があるなら全く問題なく、ウェルカム」が53.6%、「大幅に上がる可能性があるとしたら、下がるリスクがあるのは仕方がない」が43.5%と、給与が下がるリスクを許容する管理職は合わせて97.1%に及んだ。
給与が下がるリスクはどの程度許容しているか

人事評価報酬制度により「優秀な部下の退職リスクを回避できる」とした管理職は9割超

最後に同社は、「人事評価報酬を通じて、優秀な部下の退職リスクを回避できるか」を尋ねた。その結果、「非常にそう思う」(40.6%)と、「ややそう思う」(50.7%)の合計は、91.3%と9割にのぼった。
人事評価報酬制度を通じて、優秀な部下の退職リスクを回避できると思うか
本調査結果から、人事評価報酬制度に「賛成」とした管理職は7割に迫り、給与が下がるリスクにも寛容的な考えを持つ傾向にあることがわかった。さらに、同制度について「部下の退職リスクの回避につながる」とした管理職は9割にのぼった。人事評価報酬制度により、適切な評価につながると感じている管理職は多い一方で、評価が下がった従業員への対応や評価基準を気にする管理職もいることから、同制度の導入には評価基準の明確化が必要となりそうだ。

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