「インフレ手当の認知率」は6割にのぼる一方で、実際の支給企業は1割にとどまる
昨今の物価上昇に伴い、従業員の生活における負担を軽減するべく、企業では「インフレ手当」を支給するケースも増えている。支給される側の一般社員と、支給する側の経営者および人事・総務担当者とでは、必要性や目的に関する考え方に違いはあるのだろうか。はじめにエンデレッドジャパンは、スクリーニング調査として全国20代~50代の男女2,248名を対象に「インフレ手当の支給率・認知率」を尋ねた。すると、「認知しており、実際に会社で支給された」との回答は10.2%となり、支給率は約1割にとどまった。
他方で、「認知しているが、支給されていない」(39.3%)と「聞いたことはあるが、どのようなものか知らず、支給されていない」(13.1%)の合計が62.6%と、認知率は6割を超えることがわかった。
約9割がインフレ手当を「必要」と回答。半数以上は「物価高による家計の負担」を懸念
ここからは本調査の結果となる。まず同社が、一般社員300名を対象に「インフレ手当の導入が必要か」を尋ねると、「はい」が89.3%で、9割に迫った。インフレ手当の支給により「企業が社員のことを大切にしていると感じる」が7割以上に
続いて、「インフレ手当が導入・支給された場合、どう感じるか」を同社が尋ねた。その結果、「そう思う」または「ややそう思う」との回答割合が最も多かったのは、「社員のことを大切にしている会社だと思う」で合計75%だった。その他、上位には「生活の不安が解消され、業務に集中できる」(同合計71.7%)があがった。インフレ手当による生活支援が、従業員の業務効率化や生産性向上につながる可能性が示唆された。経営・人事が考えるインフレ手当の支給目的は「従業員の生活補助」が最多
ここまでの調査結果から、従業員の大多数が“インフレ手当の必要性”を感じていることがわかったが、経営側は支給に関してどのように考えているのだろうか。そこで同社は、役員を含む経営者および人事・総務担当者300名(以下、経営者・人事)を対象に、「インフレ手当を導入・支給する目的」を尋ねた。すると、「従業員の生活補助」が75.4%で最多となり、以下、「従業員のモチベーションアップ」が53.7%、「会社への帰属意識向上」が26.9%と続いた。
インフレ手当を支給しない理由は「特に必要ない」が約4割
続いて同社は、「自社でインフレ手当を支給していない」とした経営・人事166名を対象に「支給しない理由」を尋ねた。すると、「特に必要ない」が39.2%で最も多く、以下、「企業体力がないため」が33.1%、「業績悪化のため」が24.7%と続いた。また、同回答を従業員数「50名未満」、「500名未満」、「500名以上」の企業規模ごとに分析すると、特に50名未満規模の企業では全体で上位となった3項目の選択率が高く、「支給したくてもできない」という実状がうかがえる結果となった。対して、500名以上規模の企業では、「総人件費の増加を避けるため」の選択率が他の属性より高くなり(50名未満:6.9%、500名未満:15.1%、500名以上:26.7%)、コスト面にシビアな傾向がみられた。