フォー・ノーツ株式会社は2022年10月11日、「年功序列をはじめとする人事評価制度に関する意識調査」の結果を発表した。調査期間は2022年6月28日~29日で、現在勤めている会社に人事評価制度が「ある」と答えた国内のオフィスワーカー計400名(20~50代の各世代100名ずつ)から回答を得た。調査結果を元に、人事評価制度に対する従業員の納得度や、“従業員エンゲージメントの実態”と“年功序列の人事制度”の相関関係を分析した。
年功序列の企業に所属する5割強が“転職希望”を示す。「人事評価制度に納得できない」や「会社を信頼できない」との不満も

多くの企業が「成果」を重視するも“年功序列の人事制度”と併存か

人事評価に対し、従業員側は納得感や満足度を感じられているのだろうか。まずフォー・ノーツが、「あなたの会社の評価制度で、採用されている評価項目はなんですか」と尋ねたところ、「成果評価(成果目標の達成度)」が69.8%で最多となった。次点以降は「行動評価(目標達成に向けたプロセス・行動)」が60.5%、「能力評価(知識やスキル)」が50.5%で上位となった。
勤務先の評価制度で採用されている評価項目
続いて、同社が「あなたの会社は年功序列ですか」と質問すると、「年功序列である」が17.8%、「やや年功序列である」が54%と、計71.8%が「年功序列」の人事制度を取っていることが判明した。評価において「成果」を重視する企業が多いながらも、勤続年数による評価(年功序列)の要素も併存する企業が多いようだ。

以降の設問では、調査対象者を「年功序列である」、「やや年功序列である」、「年功序列ではない」の3つのグループに分けて、同社は分析している。
勤務先は年功序列か

「年功序列である」グループの半数以上が“転職意向”を持つ

次に、「現在勤めている会社でいつまで働きたいか」という回答結果をグループごとにまとめている。すると、「転職したい」と答えた人は、「年功序列である」グループで54.9%(今すぐにでも転職したい:15.5%、よい転職先があれば転職したい:36.3%の合計)となり、3つのグループの中で最多だった。他方で、「やや年功序列である」グループでは同合計が43.1%、「年功序列ではない」グループでは44.3%だった。
現在の勤務先でいつまで働きたいか

年功序列の企業に所属する従業員の7割が「人事評価に納得できない」

同社は「転職したい」とした回答者に「その理由」を聞いたところ、全体結果では「給与や処遇を含め、人事評価に納得できない」(47.8%)、「今の会社では、自分が成長できるビジョンが持てない」(47.3%)、「心身共に健康には働ける環境がない」(24.7%)が上位だった。

「年功序列である」グループの回答結果に注目すると、「給与や処遇を含め、人事評価に納得できない」(71.8%)、「会社のことを信頼できない」(41%)を選んだ割合が、他のグループと比べて著しく高くなっていた。
転職したい理由

年功序列の人事制度は「従業員エンゲージメント」にも影響

最後に、同社が「あなたの会社は、従業員エンゲージメントが高いと思いますか」と尋ねた結果、「低いと思う」と答えた人の割合は、「年功序列である」グループでは63.4%(低いと思う:47.9%、とても低いと思う:15.5%の合計)となった。同割合が、「やや年功序列である」グループでは48.1%、「年功序列ではない」グループでは48.7%となり、「年功序列である」グループが最も高い結果だった。
勤務先は従業員エンゲージメントが高いと思うか
本調査より、組織の評価基準に「年功序列の慣習があるか」という点は、従業員の転職意向や人事評価の納得度に影響を及ぼすことがわかった。人事評価制度の運用にあたり、企業は「評価の項目が妥当か」や「社員が納得しているか」という観点から現状を振り返ってみる必要がありそうだ。

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