沖縄県内のシングルマザーを建築・建設サポート業に積極採用。企業とNPO法人が連携しキャリア支援を開始

沖縄県内初となる「建設業界」に特化したキャリア支援を開始

沖縄県の世帯年収はほかの都道府県と比較すると低く、同県が2016年に実施した調査では子どもの相対貧困率が3割に迫った。さらに昨今の新型コロナウイルスの影響を受け、県内では経済的に困窮する家庭が増加傾向にあり、特に就労経験の少ない若年層の母子世帯の経済状況が深刻な問題となっている。このような状況下において、行政・地域・企業による包括的支援や自立を目指せる社会的基盤構築の必要性が高まっているという。

「建助」では、コロナ禍における沖縄県内での戸建て住宅需要の高まりを受けて、各ハウスメーカーや建設事務所への事務所や駐車場の手配、各種申請など多様なサービスを請け負っている。しかし同社は、これらの業務には地域性の理解等が必要であり、ネット上の情報だけでは業務の遂行が難しいことを課題としていた。そこで、土地勘のあるシングルマザーの力を借りて、建設業者の事務所・駐車場の手配といった地域に密着した仕事を進めるべく、リトルワンズとの連携に至った。

ひとり親家庭の支援事業を行うNPO法人「リトルワンズ」は、「沖縄県シングルマザーの活躍推進基盤構築事業」を行う実行団体に加わっており、企業と連携したシングルマザーの就労環境整備事業を進めている。「建助」はこの事業に賛同し、キャリア支援体制の構築に協力する形で、沖縄県内のひとり親家庭を対象とした就労支援事業を展開するという。

同事業で「建助」は、沖縄県内のシングルマザーを優先採用し、地元での就労機会と訓練の場が提供する。また、同社は採用後も、職種や就労時間は採用者の状況に合わせ、「リトルワンズ」と連携し生活面・精神面での適切なサポートを行うという。また、就労経験が少ない若年層のシングルマザーに対しては、仕事の経験を積む中で基礎的な社会人トレーニングを行うことで、将来的に自立できるよう支援していく考えだ。

同社は、本取り組みにより将来的に建築・建設業界で働く女性のロールモデルを増やしたいという。また、“女性活躍”や“業界の魅力”を積極的に発信し、「女性や母親が働きやすい職業」としてのブランディングを進めていく予定だ。

本事業は、人材不足の課題を抱える建築・建設業と、就労機会を求めるシングルマザーのニーズを上手くマッチングした取り組みといえるだろう。人材不足に悩む企業では、潜在的な労働力を活かすべく、地域の団体等と連携して採用活動を進めることも検討してみてはいかがだろうか。