いまだ約1割の企業では「SNSリスクに関する研修」を未実施
従業員1,000名以上の大企業のうち、TwitterやInstagramなどのSNS利用に関するリスクマネジメントを行っている企業はどれくらいあるのだろうか。まず、エルテスが「従業員に対しSNSリスクの理解を促すコンプライアンス研修を実施しているか」を複数回答で尋ねると、「全社員(アルバイト等は除く)に実施している」が79.5%で突出した。以下、「アルバイトスタッフに実施している」が9.6%、「SNS運用担当者などの関連機関に実施している」が7.5%となった。一方で、「実施していない」が8.9%となり、SNSリスクに関する研修が未実施の企業も1割程度あることがわかった。
6割以上が「関係者からの内部告発・情報漏えい投稿」のSNSリスクを懸念
続いて、同社が「SNSに関して気にしているリスク」について複数回答で質問している。その結果、「関係者からの内部告発・情報漏えい投稿」が63%、「従業員による不適切投稿(バイトテロ等)」が60.3%で、ともに6割を超えた。これに対し同社は、「従業員による不祥事などの内部要因に対するSNSリスクの危機感が根強い」と推察している。また、「採用に関する評判」(23.3%)、「競合との評判の違い」(21.9%)、「プロモーションに対する顧客からのリアクション」(19.2%)など、第三者からの投稿を主とした外部要因に懸念を持つ企業も2割程度いることがわかった。
SNSリスクマネジメントの課題は「24時間365日の監視・対応体制が難しい」など
次に、同社は「SNSデータを活用したリスクマネジメントにおいて課題を感じているもの」を複数回答で尋ねた。すると、「24時間365日の監視・対応体制が難しい」が39%、「自社に関連のあるSNSデータの収集が難しい」が32.9%、「SNS監視のための社内リソース確保が難しい」が30.8%となった。4割以上が「SNSリスクに関する研修」を実施
続いて、同社が「SNSリスクに対して、現状どのような対策を講じているか」を聞くと、「SNSリスクに関する研修を実施している」が47.9%で最多だった。以下、「SNS活用に関するルールを策定している」が43.2%、「インシデント発生時のエスカレーションフローを策定している」が26.7%で続いた。また、「リスクがあるので、SNSマーケティング等を抑制している」の回答も11%あった。この結果から同社は、SNSを利用したマーケティング活動の抑制によって売上機会の損失が生まれている可能性があることを指摘しており、「SNSリスクが経営成績に影響を与えている可能性もある」と推測している。