株式会社チームスピリットは2022年7月20日、「ビジネスパーソンのウェルビーイングに関する実態調査」の結果を発表した。調査期間は2022年6月17日~19日で、ITおよびコンサルティング業に従事する、20~59歳の部下を持たない一般社員800名から回答を得た。これにより、勤務先に対する満足度の実態やウェルビーイングに良い影響を及ぼす上司の行動について明らかとなった。
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「現在勤めている会社の満足度」には世代による差も

2022年6月7日に政府が閣議決定した、経済財政運営と改革の基本方針「骨太の方針」における、新しい資本主義に向けた重点投資分野のひとつに「人への投資」が掲げられた。人的資本経営やウェルビーイング向上に取り組む企業も増えている中で、働く人々は現状についてどう感じているのだろうか。まず、チームスピリットが「現在勤めている会社に対する満足度」を尋ねたところ、「満足している」と「どちらかと言えば満足している」の合計は55.5%だった。一方で、「満足していない」と「どちらかと言えば満足していない」の合計は19%となった。

この結果を世代別に見ると、Z世代(26歳以下)は61.6%と、全体平均より6.1ポイント高く、Y世代(27~42歳)は53%と、全体平均より2.5ポイント低いことがわかった。
現在勤めている会社に満足しているか

会社に満足している/していない理由とは

続いて、同社は前の質問で「現在勤めている会社に満足している」とした回答者に対し、「そう思う理由」を尋ねた。その結果、トップは「働きやすい環境が整備されていること」で62.6%となり、以下、「ワークライフバランスが保たれていること」が50.9%、「心地の良い人間関係があること」が33.6%と続いた。
会社に満足している理由
一方で、「会社に満足していない」と回答した人にも「そう感じる理由」を尋ねると、トップは「給与・待遇が良くない」で65.1%となった。その他、「働きやすい環境が整備されていない」が31.6%、「ウェルビーイングな状態(自分らしく幸せに感じられる状態)にない」が25%で上位回答となった。「ウェルビーイングな状態」は会社への満足度にも影響する項目となっていた。
会社に満足していない理由

5割強は「今の自分にとって、良いと思える会社で働いている」と答える

次に、同社が「総合的に見て、現在の自分にとって良いと思える会社で働いているか」と尋ねたところ、「そう思う」と「どちらかと言えばそう思う」と回答した人の合計は55.9%だった。一方で、「そう思わない」と「どちらかと言えばそう思わない」の合計は13.1%となった。

回答を企業規模別に見ると、「そう思う」の回答率が大企業(従業員規模1,000名以上)では62.7%、中堅企業(従業員規模300名以上999名以下)では53.9%、中小企業(従業員規模299名以下)では50.2%となった。企業規模が大きくなるほど、会社への満足度が高くなっているようだ。
自分にとって良いと感じる会社で働いていると思うか

「1on1ミーティング」の頻度が職場における納得感にも影響する傾向

次に、同社が「会社もしくは部署における上司との1on1ミーティング(個人面談)の頻度」について質問すると、「半年に1~3回程」が41.5%、「月に1回以上」が19.9%となり、半年に1回以上1on1ミーティングを行なっている人は61.4%と過半数を占めた。

この質問の結果を、先述の「現在の自分にとって良いと思える会社で働いているか」についての回答結果とクロス集計すると、「そう思う」と回答した人のうち約7割(69.3%)は、1on1ミーティングの頻度について「半年に1~3回程」または「月に1回以上」と回答していた。一方で、「そう思わない」と回答した人のうち約4割(39%)が、「ほとんど、もしくは全く上司との1on1ミーティングが行われていない」と答えていた。1on1ミーティングが頻繁に行われている人ほど、勤め先への納得感が高い傾向にあるようだ。
1on1ミーティングの実施頻度

職場におけるウェルビーイングを高めるために「上司が心がけたい行動」に迫る

最後に、同社は「ウェルビーイングな状態で働くために、上司の行動・姿勢で役立つもの」について尋ねた。その結果、「部下とコミュニケーションを図り、メンバーの声に傾聴してくれること」が32.3%でトップだった。以下、「部下が目標を達成できるようサポートしてくれること」が25.8%、「前向きであること」が24.4%で続いた。この結果について、同社は「従業員のウェルビーイングの向上には、メンバーの意見を聞く姿勢や目標達成へのサポートなどが影響するだろう」との見解を示した。
ウェルビーイングな状態で働くために、上司の行動で役立つもの
調査結果では、現在勤める会社に満足しているビジネスパーソンが半数以上と大多数を占めていたが、少数派ながら「ウェルビーイングな状態にない」と感じている人もいることがわかった。従業員のウェルビーイングを考慮する上では、待遇面や環境面の改善のみならず、社内の円滑なコミュニケーションを促進させることも重要な要素となるようだ。

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