「人手不足感」は前年より緩和も、従業員数や職種によって差がつく結果に
2022年1月時点での「各企業・業界での中途採用の状況」はどのようになっているのだろうか。はじめにマイナビは、「2021年に中途採用を行った企業の正社員の人手不足感」について調査している。その結果、全体では「余剰をとても感じている」が4.2%、「余剰を感じている」が14.5%となり、合計18.8%(前年比:4.4ポイント増)が余剰を感じていることがわかった。
一方で、「とても不足している」が6.5%、「不足している」が41.1%と、合計47.6%が不足を感じていることも判明した。ただし、不足を感じている人は2020年調査時から14.3ポイント減少しており、同社は、「2020年より人手不足感は大幅に緩和しており、2021年の中途採用では適切な人員数の確保ができている」と推測している。
他方で、「不足」および「とても不足」とした回答の合計値を企業の従業員数別に見ると、「50名以下」が54.7%、「51~300名」が51.8%、「301~1,000名」が45.4%、「1,001名以上」が40.4%となった。従業員数が少ない企業ほど、人手不足感が強い傾向にあることがうかがえる。
一方で、「余剰を感じる」の割合が最も高いのは、「美容・ブライダル・ホテル・交通」で28.3%だった。人手の過不足感は、企業規模や職種により差があることがうかがえる。
約6割が中途採用者と自社のマッチングに「満足」と回答
次に、同社は2020年・2021年ともに中途採用を実施した企業(2020年と2021年の中途採用を比較できる企業)に対し、「2021年の中途採用者と自社のマッチング満足度」について質問している。すると、全体では、「2021年の中途採用者に満足している」(「前年より満足」と「前年並みに満足」の計)が60.4%と、6割に達した。業種別で特に「満足」の割合が高かったのは、「IT・通信・インターネット」(68.9%)、「メーカー」(64.9%)、「不動産・建設・設備・住宅関連」(63%)だった。このうち「IT・通信・インターネット」では、「前年より満足」の回答が18.3%と、全業種の中で最も高くなった。
中途採用に「満足」の理由は「働き方改革を推進したから」がトップ
続いて同社は、中途採用者と自社のマッチングに「満足」もしくは「不満」とした回答者に対し、「その理由」を複数回答で尋ねている。すると、「満足」の理由では、「働き方改革を推進したから(テレワーク・副業・兼業の認可など)」が25.3%で最も多かった。以下、「WEBでの面接回数を増やした」が20.8%、「人事制度を見直した(福利厚生・評価制度など)」が19.2%などと続いた。一方で、「不満」の理由としては、「求人などの募集要項を甘くした」(19.7%)、「面接選考の基準を甘くした」(18.7%)、「書類選考の基準を甘くした」(17.5%)などの回答があった。
同社は、「選考基準を緩和するのではなく、働き方改革や人事制度など社内制度の見直しを行うことが、満足度の高い中途人材の採用につながるのではないか」と推察している。