男性の育休取得率が全国平均を大きく上回る
厚生労働省が今年7月に発表した「令和2年度雇用均等基本調査」によると、2020年度における男性の育休取得率は12.65%と、2割に満たないのが実態だ。さらにその内、育休期間が5日未満の取得者の割合は28.33%だった。このような状況に対して、さくらインターネットの場合、2020年度の女性の育休取得率は100%、男性の育休取得率は63.16%となり、国内平均を大幅に上回った。また、2018年度の男性の育休取得期間は平均45.6日と、長期間の取得を実現している。
そこで同社は、育休制度が取得率・取得期間ともに高い水準を達成した背景にどのような要素があるのか、過去5年以内に育休を取得した直接雇用者を対象として社内調査を行なった。
育休取得への不安を取り除く要素は「社内の雰囲気」
はじめに、「育休取得について不安はあったか」を尋ねたところ、約7割が「不安はなかった」と回答。その理由として、「社内グループウェアで、男女問わず社員の育休取得や復帰が日常的に共有されており、『育休取得が当たり前』という雰囲気が感じられた」との回答が複数あった。育休取得者の中には、部門長やチームリーダーもおり、性別・役職を問わず、復帰後も育休前と変わらずに活躍しているという。その姿を他の社員が見ることで安心感を覚え、育休取得の後押しになっていると考えられる。また、女性社員からは、「チーム内に育休取得経験のある男性社員がおり、さらに男性上司が子育てについて理解があるため、育休を取得しやすかった」といった回答もあり、男性の育休取得が、女性の育休取得促進にも効果があることがうかがえる。
リモートワーク文化が育休取得をさらに後押しか
また、「育休取得について不安はなかった」理由として、「社内のリモートワーク文化が後押しとなった」という回答もあった。さくらインターネットでは2020年4月、新型コロナウイルス感染症拡大を機に、リモートワーク前提の働き方へ転換。2021年9月時点でのリモートワーク実施率は、約9割となっている。フリーコメントからは、「復職後も育休期間中と大きく生活リズムを変える必要がないため、育休を取得する不安を取り除けた」、「復帰後、出社のために長時間自宅を空ける必要がなくなったため、復職に対して家族の理解が得やすかった」などの声があがった。リモートワーク文化へシフトしたことによって、「育休期間中」と「復職後」のギャップが小さくなったことが、育休取得をさらに後押ししたと推測される。
男性上司や同僚が育休を取得する、復帰後にも育休前と同じように働くことができる、リモートワークの普及により育休中と復帰後で生活リズムへの影響が少ない、といった状況が、男女ともに育休を取得しやすい雰囲気を作っているようだ。企業として、性別を問わず育休取得を促進できるような体制構築を目指していきたい。