MON株式会社は2021年2月4日、コロナ禍での企業研修に関する調査結果を発表した。調査期間は2021年1月5日~7日で、従業員数100名以上の企業に勤める人事・教育担当103名から回答を得た。これにより、企業におけるオンライン研修の実態と課題などが明らかとなった。
突然のコロナ禍に見舞われた2020年の社内研修はどう行われたのか? オンライン研修の浸透状況とは

6割以上が「研修の半数以上をオンラインで実施」、対面と比較した理解度は?

コロナ禍で企業の研修方法にも工夫が求められるなか、オンライン研修はどの程度浸透しているのだろうか。はじめに、2020年に実施した社員研修について「オンライン実施と対面(オフライン)実施の比率」を尋ねた。すると、「全てオンライン」が17.5%、「半分以上オンライン」が34%、「オンラインと対面が半々」が12.6%となった。合計すると、全体の64.1%が「半分以上の研修をオンラインで実施」していたことになる。新型コロナウイルス感染症拡大で、働き方だけでなく研修においても多くの企業がオンラインの活用へ移行した様子がうかがえる。
2020年の社内研修のオンラインと対面での実施比率
次に、「オンライン研修を実施した」という回答者に「研修を受けた社員の理解度」を尋ねると、「対面時と比べ理解できていないと思う」が46.8%という結果に。「対面時より理解できていると思う」(7.8%)と「対面時と同じくらい理解できていると思う」(37.7%)の合計45.5%よりも多いことがわかった。
対面研修とオンライン研修の理解度比較
また、「研修を受けた社員の満足度」について聞くと、「対面時と比べ満足できていないと思う」と答えた人は45.5%と半数に迫る。オンライン研修の「理解度」や「満足度」に課題を感じる担当者が多いことがうかがえる。
対面研修とオンライン研修の満足度比較

オンライン研修における課題は「社員同士の関係性」、「他者からの気づきがない」など

続いて、「オンライン研修で人事・教育担当者として不安や不満に感じたこと」を尋ねた。すると、最も多かった回答は「社員同士の関係性が強くならない」で53.2%と過半数が回答。以下「他者からの発見、気づき、刺激がない」(42.9%)、「実施できる内容に限りがある」(41.6%)などとなった。対面と異なり、各々が離れた環境で研修を受けるため、参加者同士の交流不足や、それにともなう刺激不足を懸念しているようだ。

個別回答でも、「自分以外の人の動きや様子から気づきを得ることや、休憩時間等のコミュニケーションが不足している」、「対面研修の減少によりコミュニケーション機会が少なくなり、新入社員同士での交流や情報共有機会も減少しているようだ」などの声があがった。
オンライン研修実施について人事担当者が不安・不満に感じること

6割以上が「オンライン化により実施しなくなった研修がある」と回答

更に、「オンライン研修に切り替わった結果、対面で行っていた研修で実施しなくなったものがあるか」を尋ねると、64.9%が「ある」と回答。具体的には、「ロールプレイング」、「グループワークによる演習授業」など、受講者間の会話や交流がポイントとなる研修内容があがった。前設問で「社員同士の関係性や他者からの気づき」の不足を課題視する回答が多かったのは、そもそもそれらの醸成につながる研修がオンラインでは実施しにくかった、という一面があるようだ。
オンラインへの切替で中止した対面研修の有無

2021年に「研修の半数以上をオンラインで実施予定」は5割弱

最後に、「2021年に計画している社員研修のオンラインと対面実施の比率」を尋ねた。その結果、「全てオンラインで実施予定」(8.7%)、「半分以上オンラインで実施予定」(24.3%)、「オンラインと対面半々を予定」(16.5%)となった(2021年1月調査時点)。これらを合わせると、半数近い49.5%がオンラインでの実施を予定している。未定が29.1%あったことも踏まえると、2020年と同様にオンライン研修を継続する企業が多いと想定される。

「オンライン研修を多く実施する理由」を尋ねると、「新型コロナの感染拡大が気になるから」が70.6%で最も多かった。一方、「対面研修を多く実施する理由」としては、「オンライン研修では実施内容に限りがある」が62.5%で最多となっている。
2021年の社内研修のオンラインと対面での実施予定比率
オンライン研修では、理解度や満足度などに課題を抱えているものの、今後も継続して行く意向をもつ企業が多いことが明らかとなった。充実したオンライン研修を推進するためには、単なる代替としてではなく、オンラインの特徴を踏まえた研修内容を工夫することも重要となりそうだ。

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