変わる学生、変わる大学

〜売り手市場における学生のトレンドと大学における就活支援の実態を解く〜

京都大学 教育推進・学生支援部 学生課 学生支援掛 江邉 信太郎氏
株式会社i-plug 取締役 兼CMO 田中 伸明氏
ProFuture株式会社 代表取締役社長 寺澤 康介

学生の売り手市場が続く新卒採用において、学生自身はもちろん、支援する大学もまた、新た な取り組みを見せ始めています。果たして売り手市場における学生のトレンドとは、そして大学に おける就活支援の実態とはどのようなものなのか。就職支援の大改革に取り組む京都大学と、 新しい採用の形を提供する株式会社i-plugにお話を伺いました。

混沌とする新卒採用市場と課題

寺澤

今回は「変わる学生、変わる大学」をテーマに、実際に今の学生がどのようなことを考えているのか、また大学は今どのような取り組みを進めているのか、といったお話をお伺いしたいと思います。まずは私のほうから話題提供として、「混沌とする新卒採用市場と課題」と題してお話しさせていただきます。経団連が定める新卒採用スケジュールの変遷を見てみると、この数年、非常に複雑かつ混沌としてきました。インターンシップと選考の関係を見てみると、6割超の企業が何らか選考と結びつけています。また大学のほうも、採用と結び付くインターンシップを容認する大学キャリアセンターが多数派となっている状況です。インターンシップの参加時期は2月がピークで、インターンシップ前の選考は「エントリーシート」が多数。8割近い学生がインターンシップ先企業に正式応募しており、文系の4割、理系の5割がインターンシップ先から内定を取得しています。さらに、文系の4割、理系の5割の内定承諾企業は、就活前から認知していた企業となっています。

一方、企業側に目を向けてみると、2019年卒採用でより重要になると思われる施策は、インターンシップが48%でトップとなっており、今後インターンシップ実施企業はさらに拡大すると予測されています。実施予定のインターンシップタイプとしては、1Dayタイプのインターンシップ実施企業が圧倒的多数。面接開始は3月が最多となっており、3割近い企業が前年と比べ面接開始を前倒ししています。

今後の採用トレンド予測

寺澤

こうした混沌とした状況が続き、まさに新卒採用大改革期を迎えたと言っても過言ではありません。今までの横並び意識、延長線上に「勝ち」はないでしょう。ヤフーでは、新卒一括採用を廃止し、30歳未満は通年で、1年に300人程度採用すると発表しました。今後の採用トレンド予測としては、インターンシップ採用が当たり前に→テクノロジーを活用した早期メディアが益々増加→就職ナビ依存の脱却(企業も大学も学生も)が進む→インターンシップ以外の早期採用手法が多様化→横並びが崩れて、採用成果に大きな差がつく→時期を問わない独自の採用戦略の構築へ企業が動く…という風に、時期が崩れ、益々混沌状態になるでしょう。

またもう一つ特徴的なトレンドとしては、データ蓄積に基づく科学的採用手法が拡大→テクノロジーの進化→人事業務にビジネスへの貢献が要請される潮流→本当に欲しい人材を個別ターゲティング、マーケティング→時期に縛られない採用ブランディング、中長期戦略が重要になる→採用業務が中長期の視点で再構築される→データに基づいた採用システム構築、戦略カイゼンの繰り返し→独自戦略〜個別ターゲティング、マーケティングの実行力…という風に、「マス」採用から「個」の採用へ変わっていくことが予測されます。

日本の新卒採用の混沌状態を変えるには

寺澤 学生の「就職ナビ依存」が生む問題としては、見かけの「学歴差別なし」「平等主義」が歪みを生み、「無意味で多大な労力」が多くの若者の気持ちを萎えさせています。では、この問題を解決するためには何が必要なのでしょうか。そこで大きな鍵になるのが、大学です。大学が企業と学生の間に立って役割を拡大させるべきでしょう。正しい情報を学生に向けて開示することにより、地に足のついた採用・就職活動が可能となるのです。企業側も、その半数が「学内企業セミナー」を重視しているという数字があるので、大学側がそれに対してどう答えるのかが問われると思います。そうした中で、今大学はどのような取り組みを進めているのか。まずは京都大学の江邉さんにお話をお伺いしたいと思います。

レポートはまだ続きます。気になる内容の続きはダウンロードしてお楽しみください。

提供:株式会社i-plug

講演者プロフィール

江邉 信太郎氏京都大学  教育推進・学生支援部 学生課 学生支援掛

龍谷大学卒業後、人材大手パソナへ入社。再就職支援や人材紹介の営業とアドバイザーを経験後、大阪府から受託した人材育成事業の担当マネージャーとして、海外就業支援や外国人留学生就職支援などに携わる。2014年に退職後、スポーツ系財団法人の立ち上げに参画。事務局長としてサービスコンテンツの企画から営業、事務業務全般に従事する傍ら、フリーランスとして企業の採用代行業務などを経験。2015年10月からは国立大学法人 京都大学へ入職。若手人材からベテラン人材、国内マーケットから海外就職など、一貫したキャリアサポート関連の経験から就職支援担当として学生の就職活動相談やイベントの運営に携わる。)

田中 伸明氏株式会社i-plug 取締役 兼 CMO

株式会社グロービスにて法人営業を経験後、チームリーダー、関西圏のマーケティングに従事。2012年3月にグロービス経営大学院大学経営研究科経営専攻を修了(MBA)し、そこで出会った仲間と株式会社i-plugを創業。新卒に特化したダイレクトリクルーティングサービス「OfferBox」を提供。初期は関西・関東地域の法人開拓を担当後、マーケティング部を立ち上げ、留学生就職支援やUIJターン採用支援、理系高度人材の就職支援を担当。

寺澤 康介ProFuture株式会社 代表取締役社長 / 中央大学大学院戦略経営研究科 客員教授

1986年慶應義塾大学文学部卒業。同年文化放送ブレーン入社。2001年文化放送キャリアパートナーズを共同設立。常務取締役等を経て、07年採用プロドットコム株式会社(10年にHRプロ株式会社、2015年4月ProFuture株式会社に社名変更)設立、代表取締役社長に就任。約6 万人以上の会員を持つ日本最大級の人事ポータルサイト「HRプロ」、約1万5千人が参加する日本最大級の人事フォーラム「HRサミット」を運営する。 約25年間、大企業から中堅中小企業まで幅広く採用、人事関連のコンサルティングを行う。週刊東洋経済、労政時報、企業と人材、NHK、朝日新聞、読売新聞、日本経済新聞、アエラ、文春などに執筆、出演、取材記事掲載多数。企業、大学等での講演を年間数十回行っている。

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