ProFuture代表の寺澤です。
経団連の指針による採用広報解禁から早くも1カ月あまりが経過しました。面接選考解禁日までの期間が昨年よりも2カ月短くなり、「短期決戦」という言葉をよく耳にします。ただ、これまではどちらかというと学生側に立って、余裕を持って企業研究をする間もなく、あっという間に選考時期が来てしまうぞという脅しのようなものとして使われることが多かったのではないかと思います。しかし、3月末にHR総研が実施した採用担当者を対象とした「2017年新卒採用動向調査」の結果を見ると、学生というよりも企業側に「短期化」の影響が出ているように思われます。
経団連の指針による採用広報解禁から早くも1カ月あまりが経過しました。面接選考解禁日までの期間が昨年よりも2カ月短くなり、「短期決戦」という言葉をよく耳にします。ただ、これまではどちらかというと学生側に立って、余裕を持って企業研究をする間もなく、あっという間に選考時期が来てしまうぞという脅しのようなものとして使われることが多かったのではないかと思います。しかし、3月末にHR総研が実施した採用担当者を対象とした「2017年新卒採用動向調査」の結果を見ると、学生というよりも企業側に「短期化」の影響が出ているように思われます。
新スケジュールに「賛成」は2割未満
経団連の新卒採用スケジュールは、就職活動の長期化等の反省から2年続けての変更となったわけですが、今回の「3月 採用広報解禁、6月 面接選考解禁」という新指針をどう評価しているのかを聞いてみました[図表1]。
「賛成である」とした採用担当者はわずか17%にすぎず、「反対である」40%、「どちらでもない」43%という結果になりました。ただし、「賛成である」とした人の理由を見てみると、
・前年の8月では、決められなかった学生への負担が大きいと感じる(情報・通信、300名以下)
・前年よりは改善されたため(サービス、301~1000名)
・2016の8月選考開始よりは、間延びせずに済むから(運輸・不動産・エネルギー、1001名以上)
・昨年と比較し、学生の就職活動期間が短くなると考えられるため(金融、300名以下)
・昨年よりはスケジュールが戻ったため(運輸・不動産・エネルギー、300名以下)
――など、あくまでも2016年新卒採用スケジュールとの比較論を理由として挙げる人が大半でした。純粋にこの新スケジュールを“最善”と考えている人はどのくらいいるのでしょうか。
ちなみに、「反対である」とする人の理由では、
・広報開始日がそのままで、選考開始日だけを前倒しにすると、学生にとっては、企業研究をする期間が短くなってしまう
恐れがある(メーカー、1001名以上)
・暇な3年生の冬休み中に就活させることが、学生の勉学に有効(サービス、300名以下)
・短期集中しすぎる(メーカー、301~1000名)
・広報期間が短い。学生が2月の春休み期間を有効利用できない(サービス、300名以下)
・少し短期決戦になりやすい(サービス、300名以下)
・2016年 卒よりは良いと思うが、2015年以前と比べると悪い。
特に理系学生はなるべく早く就職活動を終わらせて卒論・修論研究に入りたいので、
開始時間が遅れることイコール、彼らの研究に使える時間が短くなることになる(メーカー、300名以下)
・広報から選考の期間が短い。また、実態に合わないと思われる(サービス、301~1000名)
・6月の選考は学業を阻害してしまう(情報・通信、301~1000名)
・守らないルールはなくした方が良いと思う(情報・通信、301~1000名)
・各企業の裁量に任せて実施すべきと思う(商社・流通、1001名以上)
――など、「冬休み・春休みを有効活用できない」「広報期間が短すぎる」といった理由と、そもそも「統一スケジュールは不要」だという理由に大別できそうです。
・前年の8月では、決められなかった学生への負担が大きいと感じる(情報・通信、300名以下)
・前年よりは改善されたため(サービス、301~1000名)
・2016の8月選考開始よりは、間延びせずに済むから(運輸・不動産・エネルギー、1001名以上)
・昨年と比較し、学生の就職活動期間が短くなると考えられるため(金融、300名以下)
・昨年よりはスケジュールが戻ったため(運輸・不動産・エネルギー、300名以下)
――など、あくまでも2016年新卒採用スケジュールとの比較論を理由として挙げる人が大半でした。純粋にこの新スケジュールを“最善”と考えている人はどのくらいいるのでしょうか。
ちなみに、「反対である」とする人の理由では、
・広報開始日がそのままで、選考開始日だけを前倒しにすると、学生にとっては、企業研究をする期間が短くなってしまう
恐れがある(メーカー、1001名以上)
・暇な3年生の冬休み中に就活させることが、学生の勉学に有効(サービス、300名以下)
・短期集中しすぎる(メーカー、301~1000名)
・広報期間が短い。学生が2月の春休み期間を有効利用できない(サービス、300名以下)
・少し短期決戦になりやすい(サービス、300名以下)
・2016年 卒よりは良いと思うが、2015年以前と比べると悪い。
特に理系学生はなるべく早く就職活動を終わらせて卒論・修論研究に入りたいので、
開始時間が遅れることイコール、彼らの研究に使える時間が短くなることになる(メーカー、300名以下)
・広報から選考の期間が短い。また、実態に合わないと思われる(サービス、301~1000名)
・6月の選考は学業を阻害してしまう(情報・通信、301~1000名)
・守らないルールはなくした方が良いと思う(情報・通信、301~1000名)
・各企業の裁量に任せて実施すべきと思う(商社・流通、1001名以上)
――など、「冬休み・春休みを有効活用できない」「広報期間が短すぎる」といった理由と、そもそも「統一スケジュールは不要」だという理由に大別できそうです。
依然として旺盛な採用意欲
今春の入社者数と、2017年新卒採用計画数を比較してもらったところ、「前年並み」が55%と過半数を占めるものの、「減らす」「採用なし」とする企業の合計が10%なのに対し、「増やす」とする企業は29%と3倍にも及びます[図表2]。中国経済の失速やマイナス金利政策をはじめ、さらには来年に控えた消費税率の改定問題など、経済の不安要素は少なくないものの、企業の採用意欲は依然として旺盛なようです。
従業員規模別に見ると、大企業では36%が「増やす」としているのに対して、中小企業では「増やす」のは25%にとどまるなど、景況感を謳歌(おうか)しているのは大手企業が中心で、地方企業や中小企業には温度差があるようです。「増やす」とした企業が最も多かったのは非メーカーの大手企業で、48%とほぼ半分の企業が「増やす」としています。ただし、比較対象は2017年新卒採用計画数と今春入社者数になりますので、2016年新卒採用において思うように採用数を確保できなかった企業では、その多くが「増やす」に分類されることになることは注意しておきましょう。新聞社や放送局が実施している調査もほとんどが同様の比較になっています。
企業の採用増=学生の売り手市場
昨年にも増して企業側の新卒採用計画数は伸びており、求人倍率は前年の1.73倍からさらに高まることが必至です。経団連の指針スケジュールの変更も相まって、企業側の危機感は相当強くなっているようです。それを表しているのが[図表3]のデータです。2016年卒採用と比べて、企業と学生の関係はどうなるかを聞いたものです。
最も多いのは「2016年度と変わらない」で46%と半数近くありますが、「2016年度よりも学生が優位に立っている」29%、「2016年度同様、学生が優位に立っている」24%と、「学生優位」を警戒する企業が半数を超えます。大手企業といえども危機感は同じです。「学生優位」と考える企業と、「2016年度と変わらない」と考える企業がともに50%で、「企業優位」と考えている企業は皆無です。
新卒採用課題は「ターゲット層の応募者確保」と「大学との関係強化」
新卒採用における課題を選択してもらったところ、半数以上の企業が選んだのが「ターゲット層の応募者を集めたい」で52%にも及びます[図表4]。次いで「大学との関係を強化したい」の44%、その関連項目として「学内企業セミナーの参加大学を増やしたい」も37%で上位に来ています。「ターゲット」とする大学との「関係を強化」し、その大学で開催される「学内セミナー」に参加して、ターゲット学生層とのコミュニケーション密度を高めたいということです。
HR総研では、毎年「ターゲット大学を設定して特別な施策をしているか」についても聞いています。今年の結果はというと、「(特別な施策を)している」とする企業は48%で、昨年4月調査とまったく同じ割合となりました[図表5]。
メーカーと非メーカーに分けて比べてみると、非メーカーは40%にとどまるのに対して、メーカーは59%と6割に迫る勢いです。特に大手メーカーに限れば、「(特別な施策を)している」企業は71%にも及びます。メーカーの理系採用においては「国公立偏重」の傾向は以前から言われており、文系採用が多い非メーカーと比べると突出した数字となっています。昨年調査における大手メーカーの「(特別な施策を)している」比率は62%でしたので、ターゲット採用にさらに拍車がかかっているようです。大手メーカーの理系採用においては、2016年卒採用の際にも自由応募から推薦応募の割合を増やそうとする動きが見られましたが、今年はその動きがさらに進むものと思われます。
大手企業の8割がインターンシップを実施
学生のキャリア開発支援というよりも、あくまでも自社の新卒採用活動の一環として、毎年インターンシップを実施する企業は増え続けていましたが、採用広報解禁が12月から3月に変更となった2016年卒採用から、その動きに拍車がかかりました。3月の採用広報解禁からまともに採用活動を始めていたのでは、学生の企業認知のスタート時点で乗り遅れてしまうという意識が強くなっているのです。意識の高い優秀学生ほど早期から活動を始める傾向が強いため、それらの学生との接点をつくるという意味合いもあります。2017年卒採用に向けてインターンシップを実施した企業は全体で55%、大手企業だけに限れば79%と8割もの企業が実施したと回答しています[図表6]。
中堅企業で56%、中小企業でも44%の企業が実施しています。中でも目を見張るのは、メーカーの大手企業で、実に86%もの企業がインターンシップを実施しています。ただし、非メーカーは中小企業でも50%の企業がインターンシップを実施しているのに対して、メーカーの中小企業では実施している割合は34%にとどまります。一概にメーカーでの実施割合が高いとはいえないようです。
もはやインターンシップの主力は1Dayタイプに
経団連によるインターンシップの定義が「5日間以上」であったこともあり、2015年新卒採用までは「1週間程度のインターンシップ」が最も多く実施されていましたが、2016年新卒採用からは「1Dayインターンシップ」が完全に逆転しています。昨夏から今年の2月にかけて実施されたインターンシップのタイプを見てみると、「1日程度」「半日程度」の「1Dayインターンシップ」がさらに伸びています[図表7]。
「1日程度」「半日程度」の両タイプを合わせると、インターンシップを実施した企業のうち、半数以上の企業が「1Dayインターンシップ」を実施したことになります。最近では大手企業でも「1週間程度(5日間以上)のインターンシップ」を実施する傍ら、「1Dayインターンシップ」も実施する企業が少なくありません。
開催時期を見てみると、従来最も多かったのは「8月」で、次いで「9月」のいわゆる「サマーインターンシップ」と呼ばれるものでした。今年はというと、「10月」「11月」の開催割合こそ14~15%と低くなりましたが、「12月」から再び実施企業の割合が増え始め、後期試験のある「1月」ですら27%、「2月」は44%と「8月」をわずかながらしのぐ結果となりました。「ウィンターインターンシップ」がこの2年で完全に定着した感があります[図表8]。
開催時期を見てみると、従来最も多かったのは「8月」で、次いで「9月」のいわゆる「サマーインターンシップ」と呼ばれるものでした。今年はというと、「10月」「11月」の開催割合こそ14~15%と低くなりましたが、「12月」から再び実施企業の割合が増え始め、後期試験のある「1月」ですら27%、「2月」は44%と「8月」をわずかながらしのぐ結果となりました。「ウィンターインターンシップ」がこの2年で完全に定着した感があります[図表8]。
経団連の採用スケジュールを議論するとき、必ず出てくるのが2015年新卒採用までの「12月 採用広報解禁」待望論です。仮に、再び「12月 採用広報解禁」となった場合には、せっかく根付いてきたウィンターインターンシップは実施する意味がなくなることになります。それもなんだか寂しい気がしますね。
次回は、同時期に調査した学生の動きを見てみたいと思います。
次回は、同時期に調査した学生の動きを見てみたいと思います。
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