この企業では半年前に、この管理職40人に管理職研修が行われていました。
内容は「安全、品質、部下育成、組織マネジメント」についての意識改革を推し進めるものでした。
今回私が受けもった研修は、 PDCFAメソッドの知識とスキルを習得することが目的でしたが、この半年前の研修で決めたアクションプランについての実践状況を確認することから始めました。
Q1:半年前の研修で計画された取り組みは何ですか?
Q2:実際に継続的に実践した行動は何ですか?
Q3:計画通り「できたこと」「できたかったこと」をあげて、
その理由(原因)を考察し、どうすべきだったかを記述して下さい。
A4のワークシートを配り、書いてもらいました。
そこで気づいたことは、
・圧倒的に「できなかった」ことへの考察が多い。
ということです。
意識が高い管理職の皆さんですから、自分を律して反省している姿は素晴らしいとは思います。
ですが、「できたこと」への考察が少ないということは、
・深い思考をしていない
ことと同じことに気づく必要があります。
要は、
・本当に「できた」と言えるのか?
という問いです。
行動計画が「できた」から◯、「できなかった」から×ではないのです。
そこからどれだけ深く考え抜くことができるのか、ということです。
“ルーティンをこなす、仕事をさばく”、という考えでは「できたこと」を疑いようがありません。
しかし、「ありたい姿」に向かって、“仕事の質を高める”という考えになれば、「できたこと」を疑ってみる目が生まれます。
これを上位思考といいます。
上から事実を見るということです。
日々複雑な問題と対峙している管理職の方々が浅い思考では、仕事を前に進めることができず堂々巡りになってしまいます。そこで必要なのが「クリティカルシンキング」です。
「批判的思考」と訳されることが多いですが、私は「本質追究思考」と訳した方がいいと思っています。
要は物事を深く追究して、その根本原因にたどり着く思考法です。
そのために週一回程度は、立ち止まり、自分の「ものの見方」を疑う思考をする必要があるのです。
皆さんの思考法はどうでしょうか。
「できなかったこと」ばかりに目がいっていませんか?
「できたこと」を深く考えずスルーしてしまっていませんか?
研修でのどのような思考法を身につけさせるかも重要な研修デザインの1つなのです。
さあ!
『研修担当の皆さん! 「できたこと」を疑わせ、より深く考えさせよう。』
~やりっぱなし研修撲滅宣言~
「研修」が変わる「行動」が変わる45の具体策
永谷研一著
『人材育成担当者のための絶対に行動定着させる技術』(書籍版)
『人材育成担当者のための絶対に行動定着させる技術』(Kindle版)
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