同じような経験をしても自分で気づきどんどん成長する人とそうでない人に分かれるのはなぜでしょうか。
自分の経験を振り返り、経験から学び取るために「内省」の技術を習得する必要があるのです。
研修においてもよく「振り返り」の話は出てきます。
ところが「振り返る方法」をレクチャーしているのを見たことはありません。
この技術は目標達成のための「行動習慣化メソッド」PDCFAサイクルにおけるC:行動を振り返る技術となります。
それは、行動計画(アクションプラン)の実践状況について、300文字以上の自己分析文を書くことです。
そしてその文章は自分に向かって書くことが重要です。
誰かに向かって書く報告文ではありません。あくまで自分自身との会話となります。
アクションプランの実践を通じて得た経験について以下の4つの点をすべて盛り込んだ文章を書く事で深く振り返ることができます。
(1)詳細な事実
(2)原因の分析
(3)本音の感情
(4)次なる行動
では順番に説明して行きましょう。
(1)詳細な事実
5W1HのWhyを取り、4W1Hで表現すると書きやすくなります。
すなわち、When(いつ)Who(誰と)Where(どこで)What(何を) How(どのように)という具体的な事実を記述するのです。
(2)原因の分析
その結果が起きた原因を追究します。行動が「できた」ので あればその原因は何か?行動が「できなかった」のであれば その原因は何か?を掘り下げて行きます。「なぜならば」 という問いを繰り返すことで根本原因にたどり着きます。
(3)本音の感情
その事実の経験を自分はどのように感じているのかの正直な 気持ちを書き記します。①詳細な事実②原因の分析を書いて いく過程で感情の揺れ動きがあります。その自分の感情を 観察して書くのがよいでしょう。
(4)次なる行動
次に同じような状況があったらどんな工夫をしようかと 考え、小さな行動の工夫点を書くと良いでしょう。
あまり大きい行動計画を書くのではなく、小さい改良点 を見出すことが大切です。
この技術が生まれたストーリーをこの節の最後に書きましょう。
実は、企業内で大量に書かれている自己考察文章において、その書いた本人のメタ認知力の成長度合いを分析する研究の中で生まれた技術です。
私は2007年頃、行動に変化が現れない人でもきっと心が成長しているに違いないと仮説を立てました。
それが、「ブレイク前夜の人を見つける研究」です。
人は深く悩み考えているとき、行動は停滞しますが、その悶絶から抜け出した時に、グッグッと急激に成果を出す人が多くいることを知っていました。
世の中には「遅咲き」の人がいるように、行動変容に置いても同じようなことがあるのではと考えたのです。
すなわち、行動には変化がなくても心が成長していることになります。その心が成長しているとは何かと研究を進めて行くと、内省の基礎研究にたどり着いたのです。
先行研究の論文の中には
自分だけの話から同僚やお客さまなど登場人物が増える変化
短絡的な言い方から「なぜなら」など考察的な言い方への変化
感情を出さない硬い文章から自分の気持ちを書く文章への変化
など様々な見方がありました。
その中で行動習慣化メソッドとして体系化したのが上記の4つの要素となります。
さあ!
『研修担当の皆さん!内省の技術を習得させよう』
~やりっぱなし研修撲滅宣言~
「研修」が変わる「行動」が変わる45の具体策
永谷研一著
『人材育成担当者のための 絶対に行動定着させる技術』
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