もう12月になりました。1年が過ぎるのは本当に早いですね。昨年の今ごろには、就職ナビが正式オープンし、週末には各地で大規模な合同企業セミナーが開催され、一斉に採用活動シーズンに突入していました。しかし、これまでの採用広報解禁が12月から3月へ変更となった今年は、表向き静かなものです。
しかし、実は静かに2016年卒採用に向けての動きが始まっています。前回のこの項で、企業の採用ホームページは3月を待たずに12月上旬にオープンする企業が多くなるだろうとお伝えいたしましたが、予想どおり多くの大企業で2016年卒向けの採用ホームページがオープンしています。
 一例を挙げてみると、三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行、みずほフィナンシャルグループのメガバンク3行をはじめ、丸紅、住友商事、三井住友海上火災保険、日本郵政グループ、旭化成グループ、資生堂、ユニ・チャーム、川崎重工業、東芝、富士通、サッポロビール、三越伊勢丹グループ、NTTデータ、商船三井など、各業界の錚々(そうそう)たる顔ぶれの企業が並びます。さすがに大手企業は、社員紹介や職種紹介などにとどまりますが、中にはテレビ東京やPlan・Do・Seeのようにすでにプレエントリーの受付まで開始している企業もあります。
 今回は、このような企業の動きに学生は付いていけているのかを、11月末に実施した学生アンケートから見てみたいと思います。

早くから就職を意識している2016年卒学生

まずは、2016年卒学生が就職を意識し始めた時期について、昨年12月に実施した2015年卒向けのアンケート結果との比較で見てみましょう[図表1]。文系では、「3年生10月~11月」と回答した学生は2015年卒学生では25%もいましたが、2016年卒学生では3分の1以下の7%にとどまります。逆に、「2年生」と回答した学生は9%から20%へと倍増しています。理系を見ても、「3年生10月~11月」は36%から10%に減っているのに対して、「2年生」は3%から9%に、「3年生4月~6月」は34%から48%に増えています。
第45回 企業の動きに学生は付いていけているのか?
今回の採用スケジュールの変更は、2013年4月19日の「経済界との意見交換会」で、安倍総理から経済界(経済団体連合会、日本商工会議所、中小企業団体中央会)に対して、2016年度卒業・修了予定者からの就職・採用活動開始時期変更を要請したことに端を発しています。6月14日には「日本再興戦略」において政府方針として閣議決定し、9月13日には経団連が倫理憲章を見直し「採用選考に関する指針」を公表。9月27日には国公私立の大学、短期大学および高等専門学校で構成する就職問題懇談会が「大学、短期大学及び高等専門学校卒業・修了者に係る就職について」の申し合わせを公表しました。
 これら一連の動きは、現3年生が2年生であったときに起こっており、その度に大々的にマスコミに取り上げられましたので、いやがおうにも就職に関心を持たざるを得なかったとも言えます。

ますます加速する大手企業志向

今度は学生が希望する企業規模を見てみましょう[図表2]。2016年卒学生では、文系の14%が「絶対大手企業」、51%が「できれば大手企業」と合わせて65%の学生が大手企業志向となっています。理系の大手企業志向はさらに強く、「絶対大手企業」が19%、「できれば大手企業」が文系と同じく51%と、合計では実に70%に達しています。
第45回 企業の動きに学生は付いていけているのか?
景気回復により企業の採用意欲が高くなると、学生の大手企業志向は強くなると言われます。アベノミクスによる景気の回復傾向が見えた昨年の調査でも、文系の13%が「絶対大手企業」、46%が「できれば大手企業」、理系の15%が「絶対大手企業」、53%が「できれば大手企業」と大手企業志向が強く出ていましたが、今年はさらに拡大しています。
 大学グループ別に見ると、旧帝大クラスや早慶クラスの文系では、「絶対大手企業」と「できれば大手企業」の合計は85%前後に上っています。理系ではさらに大手企業志向は強くなり、早慶クラスの実に96%が大手企業志向という結果になりました。中堅、中小企業には厳しい結果となっています。

7割もの学生がインターンシップに参加

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