ターゲット校設定企業、調査開始以来初の減少
弊社独自の調査項目として注目されているのが「ターゲット校の設定率」です。HR総研の調査方法の特徴は、人事部門あての郵送アンケートではなく、「HRプロ」会員(個人)向けのWEBアンケート方式を採るともに、回答者名はもちろんのこと、回答企業名も一切公表しないというお約束の上で回答協力をいただいていることです。では、通常の郵送アンケートと何が違うのでしょうか。ずはり、回答の質です。郵送アンケートの場合、人事部門(あるいは会社)としてのオフィシャルな回答として扱われることを想定して、本音の回答にはなりづらく、極めて当たり障りのない回答にとどまる傾向があります。これに対して、人事部門の個人からの回答は、回答企業名も秘匿性を持たせるため、極めて本音に近い回答を集めることができるのです。今回のテーマである「ターゲット校の設定」などは、郵送アンケートと個人向けのWEBアンケートではまったく異なる結果になるはずです。「ターゲット校の設定」とは、指定校まではいかないまでも、一部の特定大学についてのみ採用重点校として特別な対応をしている大学があるかどうかを問うものです。表面的には「大学名不問」の採用活動をしている企業からすれば、特定大学の存在は公にはしたくない事実です。郵送アンケートで実施した場合には、「ターゲット校の設定はない」とする回答が大半を占めることが容易に予想されます。
さて、本題に入りましょう。HR総研では、この「ターゲット校の設定の有無」について、2011年新卒採用(2009年12月調査)から毎年調査をしています。これまでの調査結果の推移を見てみると、ターゲット校を設定している企業の割合は、2011年卒33%→2012年卒39%→2013年卒48%→2014年卒52%と右肩上がりの上昇を見せてきましたが、2015年卒採用では44%と大きく減少することとなりました[図表1]。