今回のテーマは、~激変時代における人事エグゼクティブの決断~「理念を浸透させ組織を変える人材戦略に、舵を切る」です。
ゲストとして、早稲田大学ビジネススクール教授/株式会社ローランド・ベルガー 会長の遠藤功氏、元Google米国本社副社長兼Google日本法人代表取締役社長の村上憲郎氏、第一生命保険株式会社人事部部長兼人財開発室長の榎並重人氏らにご登壇いただき、お話を伺いました。採用の本題の前に、その一幕を少しご紹介したいと思います。
■企業理念を浸透させる組織の土台作り―当社エグゼクティブフォーラムより
変化の激しい時代だからこそ、その動きに対応するためにはしっかりとした理念と、社員への浸透が重要であるという主旨のもと、人事部として為すべきことをともに考えることを開催目的としました。朝から夕方まで長時間にも関わらず、当日は約130名の方にご参加いただき、参加者同士の交流も積極的に行われました。アンケートでもほとんどの方から満足との回答を得て、主催者として安堵しました。このフォーラムの中で遠藤功氏は、現場力と企業経営をテーマにお話しされましたが、その中でアイスキャンディ「ガリガリ君」を販売し業績を毎年向上させている赤城乳業を例として取り上げ、その取り組みを紹介されました。
赤城乳業のコーポレートスローガンは「遊びましょ」。同社は若手社員を積極的に登用し、社員のモチベーションの高さを自社の財産とし、フラットで垣根のない組織を作り上げています。あの、ガリガリ君の「コーンポタージュ味」の開発を担当したのは新卒入社からたった数年の若手社員一人。周囲に「売れるのか?」と心配されつつ開発作業を重ね、最後は社長の判断で商品化が決定。インパクトある商品は、デビュー数日で売り切れ、市場から姿を消したことは記憶に新しいところです。
同社の社長が遠藤氏に語ったところでは、よく言われる「見える化」だけでなく、「言える化」が大事だとのこと。若手が何でも自由に言える環境を、雰囲気を作るのは、経営者の仕事であり、工夫、努力をしなければ組織は「言えない化」に陥るということです。
現場には、気づき、アイデア、知恵が眠っている。それを引き出す会社の仕組みを作ることが重要だと、遠藤氏は言います。それは会社の風土であり、そのような風土を作ることは人事部の非常に重要な仕事でしょう。経営と二人三脚でこうした風土を作ることが、理念を浸透させる組織の土台作りと言えると思います。
さて、今回はこうした風土をいかに学生たちに伝えていくことができるのかをテーマに、今や企業を広報する最もポピュラーなツールとなった「採用ホームページ」について、考えてみたいと思います。
■文系では、電通が2年連続第1位
HR総研と楽天「みんなの就職活動日記」は共同で、2014年度新卒学生4000人を対象に、企業の採用ホームページについてのアンケートを行いました。学生から寄せられた評価の高いホームページ、評価の低いホームページとその理由をご紹介いたしますので、2015年卒向けの採用ホームページ制作の参考にしていただければと思います。まず、文系学生の評価から見ていきましょう。第1位は昨年に引き続き、電通でした。次いで、日本郵政グループ、Plan・Do・See、三菱東京UFJ銀行、三菱UFJ信託銀行と続きます。三菱UFJ信託銀行を除く4社は、昨年の調査でも上位5社に入っておりました (図1) 。各社の評価理由を挙げてみます。