連載「人事大解剖~他社の人事のリアルを知る~」は、リレーインタビュー形式で、業務において大事にしている考えや日常の悩み、気になっているHRのキーワードなどを紐解きながら、人事のリアルに迫っていく。正解がないと言われる時代だからこそ、多くの人事の視点や考えを通じて、業務や課題解決のヒントをお届けする。人事リレーの輪3人目は株式会社シーユーシーで人事責任者を務める、執行役員 CHRO 松浦 俊雄氏が登場。同社は「CUC Partners Philosophy」という経営理念を大事にしながら、医療法人への経営支援をはじめ、訪問看護・ホスピス型住宅の運営など、医療介護分野での課題解決に向け、多角的にアプローチしている。本記事では、リクルートやカルチュア・コンビニエンス・クラブなどで人事経験を持つ松浦氏が語る人事として今一番悩んでいることや大事にしている考え方のほか、オススメの人事関連書籍などをお届けする。
※下部の「目次」より気になる項目がありましたら、ぜひそちらからも参照のうえご覧ください。
私たち人事部門は、「社員と仕事」について最も詳しい集団でいたい――シーユーシー 松浦 俊雄氏【人事リレーの輪3人目】

Q1:これまでのキャリアは?

【人事リレーの輪3人目】
株式会社シーユーシー 執行役員 CHRO 松浦 俊雄氏

株式会社ノンピ CHRO/取締役 人事本部長 三浦 孝文氏からのご指名


1社目はパチンコの機械を作る株式会社平和、その後リクルート(現:株式会社リクルートホールディングス)、カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社(CCC)、そして今の会社である株式会社シーユーシー(CUC)に転職と、これまで4つの会社に所属してきました。私のキャリアのスタートは、総務の仕事です。配属して最初の仕事は倉庫整理。その後、自ら提案して社内報を作ったり広報・IRに携わっていました。7年目に経理に異動。経営企画を経て、開発生産本部にて開発、購買、製造、品質保証といった開発の統括や中期経営計画の統括を担当するなど、12年半の間に幅広い職種を経験させていただきました。

オーナー変更を機に経営状況が変わったこともあり、外に出て自分を鍛え直そうとリクルートに転職しました。最初は総務部で仕事をしていましたが、リーマンショック後に、グループの構造改革の事務局を担当することになったんです。人事の入口みたいなものに入ったのが、ちょうどこの時期ですね。この過程でグループ会社の社長や人事と連携することが多くなり、リクルートグループの人事企画を担当。その後、グループの組織再編を任されることとなり、グループを十数社に分社化してリクルートホールディングスの体制を整えていくプロジェクトに、人事企画のリーダーとして取り組みました。

リクルートには約7年弱の在籍でしたが、グループ再編から1年半が経過し、人事の制度改革なども少し落ち着いたタイミングで次のチャレンジということで、CCCに入社しました。最初の3ヵ月は人事副部長、その後の約8年半は人事部長として、同社を退職するまで一貫して人事の責任者を務めていました。最後の2年半ほどは兼務で社長室長を担い、当時社長だった増田宗昭氏の秘書役として経営を支援する業務にも従事していました。

様々な施策に携わった後、50歳を目前に控え、今後のキャリアについても考えるようになっていました。経営に近い立場で人事の経験を積んできたこともあり、日本の構造的な変化についても俯瞰して考えていたんですよね。日本はこれから人口がどんどん減っていく。生産年齢人口と言われる働き手の比率も低下していくことで、国の生産力は下がり、GDPも落ちていってしまう懸念がある。そうならないようにするための1つのオプションとして、シニア世代以上の方たちが活躍し続ける未来を作っていきたい。そうしないと、日本の将来は厳しくなっていくのでは、、、といったことを考えていました。明るい未来の実現に向けたチャレンジングな仕事がないかを模索していた中で、CUCの代表の濵口と4年半ぶりに再会しました。同社に決めたのは2つの理由があって、1つは面談で濱口が話していたCUCの「Philosophy」、いわゆる経営理念にすごく共感したこと。

濵口から「縁があって、もし松浦さんが入社してくれたら、上司は社長の僕じゃなくて、Philosophyが上司です。なので、私の言うこととPhilosophyに矛盾を感じたら、遠慮なくPhilosophyを優先してください」とその場で言われて、Philosophyを浸透させることへの覚悟感と、経営を一緒に担っていく上で自分自身も判断に迷うことがないと、強く感じさせられました。
私たち人事部門は、「社員と仕事」について最も詳しい集団でいたい――シーユーシー 松浦 俊雄氏【人事リレーの輪3人目】
もう1つは、先ほど触れたシニア世代以上の方たちが世の中で活躍し続ける、輝き続けるような未来を作っていくことを支援する企業だと思ったからです。シニア世代が働く場から退場されたり、一時的に休んでしまう主な要因としては、親の介護、パートナーの看護、自身の健康不安等があります。こうした環境にある方を支援していくという側面も、シーユーシーグループのビジネスの根幹にあります。例えば在宅医療や病院運営の支援、訪問看護、ホスピス事業です。まさにシニア世代の活躍を支えていくことにもつながるビジネスであり、骨を埋める覚悟が決まりました。


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