2014年新卒採用が解禁されて2カ月。皆さんの会社では、プレエントリーや合同企業セミナーでの面談学生の状況はいかがでしょうか。就職情報会社や大学キャリアセンターの方からは、昨年の学生と比べてのんびりしている学生の割合が多いという声をよく聞きます。
経団連の倫理憲章の改定により就職スケジュールが変更となったことで、不安だらけの中で就活をスタートした2013年卒生に対して、昨夏から就職内定率の改善報道が続いていることで、「自分たちも何とかなるだろう」と楽観視しているというわけです。果たして序盤戦の状況はどうなっているのでしょうか。
弊社では、毎年12月末に企業の採用担当者に対して新卒採用の動向調査を実施するとともに、楽天「みんなの就職活動日記」と共同で就活生に対しても就職活動調査を実施しています。現在、それぞれの調査結果を集計・分析している途中ですが、今回はその一部を紹介していきます。ぜひご参考にしてください。
弊社では、毎年12月末に企業の採用担当者に対して新卒採用の動向調査を実施するとともに、楽天「みんなの就職活動日記」と共同で就活生に対しても就職活動調査を実施しています。現在、それぞれの調査結果を集計・分析している途中ですが、今回はその一部を紹介していきます。ぜひご参考にしてください。
■「採用増」の企業が「採用減」を大きく上回る
前回の13年卒採用でも「(採用を)減らす」7%に対して「(採用を)増やす」が18%と採用意欲の回復を読み取ることができましたが、14年卒採用ではその傾向がさらに強くなりました。全体では「昨年並み」が56%と最も多くはなっていますが、「減らす」の8%に対して「増やす」は22%と2.5倍以上になっています。ただし、メーカー・非メーカー別にでは、大きな差が見られます。非メーカーは、「昨年並み」64%、「増やす」20%に対して、「減らす」はわずか4%しかありません。一方、メーカーは、「昨年並み」45%、「増やす」24%に対して、「減らす」も13%あります。政権交代により円安傾向も見られますが、あくまでもそれまでとの相対的なものであり、為替レートは依然として円高水域にあると言えます。尖閣諸島問題を契機とした中国での販売不振など、海外依存度の高いメーカーほど厳しい経営環境にさらされています。今後、採用選考活動が本格化する4月以降、為替レート、海外市場において好転の兆候が見られれば、メーカーの採用計画にも変化は現れそうです。
また、これまで中途採用に注力していた企業が、中途採用で思うように人材の確保が進まず、新卒採用市場での人材確保に切り替えてきた例も多いようです。
■学生のプレエントリー数は落ちていない
企業に尋ねたプレエントリー数の前年比較では、全体では「昨年並み」が45%で最も多く、次いで「減っている」が32%、「増えている」が23%という回答でした (選択肢「その他」を除外して集計) 。「減っている」が「増えている」を大きく上回る結果となったわけです。企業規模別に見ても、「1001名以上」の大企業ですら「減っている」が36%で、「増えている」の27%を大きく上回っています。前年よりも2カ月間もプレエントリー期間が短くなった2013年卒採用調査を除くと、それまでの調査では「増えている」が「減っている」を上回る回答となっていました。やはり楽観視した学生のプレエントリーの絶対数が減っているのでしょうか。
今度は、学生側の調査結果からこれまでのプレエントリー社数についてのデータを見てみましょう。理系学生のプレエントリー数では、「41社以上」にはさほどの変化は見られず、「21~40社」が33%→29%と減少し、代わりに「1~20社」が32%→37%と増えていることから、確かにプレエントリー数は若干減っているように見えます。ところが、文系学生では、「1~20社」が24%→20%、「21~40%」が28%→26%とそれぞれ減少した代わりに、「41~60社」21%→24%、「61~80社」12%→15%、「81~100社」4%→6%と、より社数が多い回答が増えているのです。文系学生では、プレエントリー数は減っているどころか増えているということになります。
採用広報が解禁となる12月1日までの就職意識という点では、確かに昨年よりものんびりした学生も多かったのかもしれません。ただし、いざ解禁を迎えてからの学生の活動量(プレエントリーやセミナーへの参加など)という点では、杞憂(きゆう)に終わりそうです。
学生に12月1日の行動を聞いてみたところ、深夜に就職ナビにアクセスした割合(文理合計)は実に49%に上りました。ほぼ同時に2人に1人がアクセスしたわけですから、どの就職ナビもアクセス集中によりサービス停止状態になってしまったのも無理もないと言えます。また、同日に開催された学内企業セミナーや、就職ナビ等が開催する合同企業セミナーに参加した割合(同)も42%に達しました。その日に就職関連のセミナーが開催されていない地区もありましたから、この数字は就職ナビへのアクセス率以上に驚異的な数字と言えます。
プレエントリー数に話を戻します。学生側のプレエントリー数が減っていないのに、企業側のプレエントリー受け付け数で明暗が分かれているのは、人気のある企業(業界)とそうでない企業(業界)の差が拡大したということになります。前年と同程度の広報活動を展開しながらも、プレエントリー数が減少した企業は、少し対策を考える必要があるかもしれません。
ただし、これはあくまでもプレエントリーの全体数についての話ですから、その中身を精査してみる必要があります。大学グループや専攻、エリアなどで区分してみて、貴社がメインの採用ターゲットとして考えている層と合致している割合が高まっているのであれば、全体数が減少したとしても何ら問題はありません。
採用広報が解禁となる12月1日までの就職意識という点では、確かに昨年よりものんびりした学生も多かったのかもしれません。ただし、いざ解禁を迎えてからの学生の活動量(プレエントリーやセミナーへの参加など)という点では、杞憂(きゆう)に終わりそうです。
学生に12月1日の行動を聞いてみたところ、深夜に就職ナビにアクセスした割合(文理合計)は実に49%に上りました。ほぼ同時に2人に1人がアクセスしたわけですから、どの就職ナビもアクセス集中によりサービス停止状態になってしまったのも無理もないと言えます。また、同日に開催された学内企業セミナーや、就職ナビ等が開催する合同企業セミナーに参加した割合(同)も42%に達しました。その日に就職関連のセミナーが開催されていない地区もありましたから、この数字は就職ナビへのアクセス率以上に驚異的な数字と言えます。
プレエントリー数に話を戻します。学生側のプレエントリー数が減っていないのに、企業側のプレエントリー受け付け数で明暗が分かれているのは、人気のある企業(業界)とそうでない企業(業界)の差が拡大したということになります。前年と同程度の広報活動を展開しながらも、プレエントリー数が減少した企業は、少し対策を考える必要があるかもしれません。
ただし、これはあくまでもプレエントリーの全体数についての話ですから、その中身を精査してみる必要があります。大学グループや専攻、エリアなどで区分してみて、貴社がメインの採用ターゲットとして考えている層と合致している割合が高まっているのであれば、全体数が減少したとしても何ら問題はありません。
■拡大するターゲット採用
上記で「採用ターゲットとして考えている層」と書きましたが、これについても弊社では調査の中で毎年企業に尋ねています。「採用戦略においてターゲット大学を設定し、特別の施策を講じていますか。」
弊社調査ならではの項目の一つです。通常は、人事部門や広報部門に調査票を送って調査しますので、その回答は企業のオフィシャルな回答として、当たり障りのないものになりがちです。それに対して弊社の調査は、弊社運営の人事向けポータル「HRプロ」の会員である採用担当者個人宛にメールにて調査依頼をいたしますので、その回答は採用担当者のホンネや、より企業の実態を反映した回答となります。
上記設問も通常の調査方法では、世間体に配慮した企業オフィシャルな回答では「実施していません」との回答にきっと落ち着くでしょう。弊社の調査ではまったく違う結果が得られています。過去4年間の推移を見てみましょう。調査時期はいずれも12月後半です。
11年卒採用(09年12月調査)では、「(ターゲット大学を)設定している」企業は33%でしたが、12年卒採用では39%、13年卒採用では48%と上昇を続け、今回の14年卒採用では52%と、ついに過半数に達しました。この動きの背景にあるものは何でしょうか。
これまでは、「より多くの選択肢(母集団=プレエントリー者)の中から採用する学生を選んだ方が、より優秀な人材を獲得できる確率は高くなる」と信じられてきました。つまりは、まずはプレエントリー数を増やすことばかりに気を取られ、その増減に対して一喜一憂していたわけです。
ところが、ここ数年、プレエントリー数は企業が思う以上に増え続けた結果、就職意識や企業理解の低い学生の割合が増え、一人ひとりをじっくり見て「選ぶ選考」というよりも、どちらというと「落とす選考」になってきていました。果たして、「本当に自社が求めている人材を採用できているのか」を見つめ直した結果として、むやみやたらにプレエントリー数を追うのではなく、「自社が求めている人材がいる確率の高い集団」に対して集中して採用プロモーション活動を展開していく施策に転換してきたわけです。もっともなことだと思います。この動きはもはや止まることはないでしょう。
ところが、ここ数年、プレエントリー数は企業が思う以上に増え続けた結果、就職意識や企業理解の低い学生の割合が増え、一人ひとりをじっくり見て「選ぶ選考」というよりも、どちらというと「落とす選考」になってきていました。果たして、「本当に自社が求めている人材を採用できているのか」を見つめ直した結果として、むやみやたらにプレエントリー数を追うのではなく、「自社が求めている人材がいる確率の高い集団」に対して集中して採用プロモーション活動を展開していく施策に転換してきたわけです。もっともなことだと思います。この動きはもはや止まることはないでしょう。
■各企業の今年の新卒採用におけるテーマは?
最後に、採用担当者から寄せられた今年の採用テーマを紹介しましょう。・質を落とさないで採用数を増やすこと。(保険、5001名以上)
・面接官のスキルアップ(百貨店・ストア・専門店、5001名以上)
・社内プロジェクトによる優秀な人材確保(百貨店・ストア・専門店、5001名以上)
・インターンシップ等の早期接触機会の創出とセミナー等での社員と学生の接触機会の増加(電機、5001名以上)
・理系学生の採用強化:母集団確保(研究室への働きかけ、新ツールの作成など)(その他サービス、5001名以上)
・採用活動の早期決着(百貨店・ストア・専門店、1001名~5000名)
・選考プロセスを通しての動機付け(鉄鋼・金属製品・非鉄金属、1001名~5000名)
・採用数を増やしたいが、幹部候補人材の選考基準は下げられない。よって、非幹部候補生用の選考基準と初任給を新たに設定する。(通信、1001名~5000名)
・首都圏大学での学内セミナー数増加(食品、1001名~5000名)
・グローバル人材の確保と障害者雇用(情報処理・ソフトウェア、1001名~5000名)
・今までは(結果的に)バランスのとれた技術者の採用が多かったが、地方大生や海外大生なども採用し、多様性を求めてゆく。(情報処理・ソフトウェア、1001名~5000名)
・学生との対話時間(建設・設備・プラント、1001名~5000名)
・グローバルな企業活動を行うために必要な素養を持っている人材の獲得(医薬品、1001名~5000名)
・メンタルが弱く、他責性・自責性の強い人材は避ける。(その他サービス、1001名~5000名)
・知識よりもコミュニケーション能力重視(保安・警備・清掃、1001名~5000名)
・大学とのパイプ作り(輸送機器・自動車、501名~1000名)
・65歳までの継続雇用への対応による人件費増と、将来に向けた人材確保のバランス(電子、501名~1000名)
・ターゲットとしている大学の学生に対する母集団形成(電機、501名~1000名)
・13年度の際、準備・スタートが遅かったため、とにかくスピードを上げる(通信、501名~1000名)
・独り立ちできる、メンタルな部分でも強じんな人材の採用(その他メーカー、501名~1000名)
・将来のグローバル人材となる人材の採用(留学生などの外国人)(化学、501名~1000名)
・早期内定出しおよび内定者フォローの拡充(銀行、501名~1000名)
優秀な人材の確保は当然として、「グローバル人材」「大学とのパイプ作り」「早期決着・スピード」「メンタル」といった言葉が目につきます。貴社の今年のテーマは何ですか?
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