人は数字だけでは動きません。現場のリーダーとなるミドルマネジャーが、数字ではなく自組織の目指すべき将来像、つまりビジョンをもって、チームメンバーへ中期経営計画を語るべきなのです。
では、メンバーが共通のビジョンを描いて中期経営計画を自分事化し、実現困難な課題に挑戦していく組織文化を、どうやって創っていけばよいのでしょうか。リ・カレントでは、現場のキーパーソンであるミドルマネジャーには、3つの「ビジョニング力」が必要であると提唱しています。
ビジョンとは単なる“将来像”ではない
リ・カレントが研修を行う企業の人事担当や経営トップの方々に、中期経営計画のビジョンに関する問題意識を伺ったところ、『企業組織を悩ますマネジメントの7つの症状』が見えてきました。(1)中期経営計画の中で、会社のビジョンが絵空事になっている
(2)ビジョンが経営企画部門による分析手法だけで作られている
(3)マネジャーが、ビジョンの個人的・組織的効果を実感していない
(4)マネジャーが自部署のビジョンをつくっていない(目標・計画のみ)
(5)マネジャーがビジョンづくりにメンバーを巻き込んでいない
(6)メンバーが目標や計画を本気で実践できていない
(7)組織が現状維持・保守的文化に陥っている
※「マネジャー」は部長や課長などミドルマネジャー、いわゆる中間管理職を指します
この中で、現場レベルで改善すべき「症状」は(3)~(7)です。ミドルマネジャー自らが計画の効果を実感した上でビジョンを作り、現場のメンバーを巻き込んで実践しましょう。そうすれば、守りから攻めへと文化が変わり、実現困難な目標にもチャレンジする強い組織へ進化していくと考えられます。
そもそも、マネジメントに必要なビジョンとは何でしょうか。ビジョンとは一般的に「将来像、目指す姿、中・長期的なゴール」を意味しますが、この場合は、個人と組織の両面から考える必要があります。
●個人にとってのビジョン
→「コミットメント(最後までやり切ること)を誘発する将来像」
●組織にとってのビジョン
→「エンゲージメント(個人と組織が貢献し合うこと)を誘発する将来像」
リ・カレントでは、この両方が揃って、初めて「ビジョン」といえると定義します。