経団連の「指針」による面接選考解禁から1カ月が過ぎ、学生の内定率は日に日に高まっているようです。7月5日にマイナビが発表した「2017年卒マイナビ大学生就職内定率調査<6月>」によれば、6月末時点での内々定率は前年同月比+21.1ポイントの65.3%に達しています。
今回は、HR総研が6月下旬に実施した「2017年新卒採用 最新動向調査」の結果から、企業の現状を見ていきたいと思います。
文系学生への内定出しの開始は「6月前半」がピーク
まずは、内定出しの開始時期を文系学生と理系学生に分けて見てみましょう。文系学生に対しての内定出しは、「4月後半」10%、「5月前半」14%、「5月後半」16%と増えていき、「6月前半」が21%でピークを迎え、「6月後半」には8%と大きく落ち込みます。「7月前半」3%、「7月後半」2%とさらに減少し、「8月以降」になって10%と再度増える見込みです[図表1]。文系、理系のいずれのデータを見ても、多くの大企業がほぼ時期を同じくして選考活動をしていることが分かります。
内定出しのピークは「6月前半」「6月後半」
上記では、「いつから内定出しを始めるか」を見てみましたが、次に「内定出しの期間」を確認してみましょう。実際に学生へ内定を出した(または出す予定の)時期を、選択肢に挙げた中から複数回答ですべて選んでもらい集計したものです。まずは文系学生です[図表5]。内定出しの時期としては、「6月前半」49%、「6月後半」48%とほぼ半数の企業がこの時期に内定を出しています。「5月後半」も40%と多くなっていますが、「5月前半」は27%にとどまり、「4月後半」になると19%と2割弱の企業が内定を出しているだけになります。
6月下旬時点で内定充足率8割以上の大企業は3割
6月下旬現在での採用計画に対する内定充足率を見てみましょう[図表9]。全体では、内定充足率が8割以上の企業は26%と、約4分の1ほどです。内定者がまだゼロの企業が19%、「20%未満」11%、「20~40%未満」11%、「40~60%未満」17%、「60~80%未満」16%と、状況はバラバラです。「インターンシップ経由の内定者あり」の企業が4分の3
次に、年々実施企業が増えているインターンシップと内定者の関係について見てみましょう。インターンシップを実施した企業を対象にして、内定者に占めるインターンシップ参加者の割合を聞いた結果が[図表11]です。採用選考直結型のインターンシップに限らず、結果としてインターンシップに参加した学生だったという例も含めてのものになります。全体では、内定者の中にインターンシップ参加者が1人もいないという企業は25%にとどまります。逆にいえばインターンシップ実施企業の4分の3は、インターンシップが採用に寄与したともいえます。インターンシップ参加者の割合に関して、最も多かったのは「20%未満」の41%、次いで「20~40%未満」14%、「40~60%未満」13%ですが、まだまだ企業の選考活動は続いており、今後内定者が増えていけば、この割合はさらに増えることも十分考えられます。
すでに内定辞退は昨年よりも多い傾向に
最後に、内定辞退の状況について確認してみましょう[図表13]。この設問で対象としている企業は内定出しをすでに始めている企業だけで、内定出しがまだこれからという企業は除いています。全体では、「前年と変わらない」とする企業が49%と最も多く、「前年より少ない」は17%なのに対して、「前年よりも多い」は34%と2倍にもなっています。6月に入ってからの慌ただしい選考スケジュールの中で、企業に振り回され続けた学生は、重複内定企業からの絞り込み局面において、深く考えることなく就職先企業を決めてしまった学生も少なくないと思われます。入社後のミスマッチによる早期リタイアが懸念されるところです。
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