人事自身が変わるべきだと思っている

当の人事は自らのことをどのように考えているのでしょうか。HR総研では今年2月に人事の意識調査を行っており、その結果を検証してみましょう。
 まず「人事自身は変わるべきだと思うか?」という設問に対し、「変わる必要がある」と回答したのは65%と過半数を大きく超えています。「変わる必要はない」は12%と少数派です。「わからない」という回答も23%ありました。
 次の設問は「自社の人事部門の役割は変化している?」というものです。「強く感じる」という回答は23%と約4分の1ですが、「感じる」は47%と半数近くあり、両者をあわせると7割に達します。
 「どちらとも言えない」は23%、「あまり感じない」が6%、「全く感じない」1%でこの3つで3割です。
 つまり人事自身は変わるべきだし、人事の役割も変化していると考えている人が約7割いるのです。

どのように人事は変わろうとしているのか

人事はどのように変わろうとしているのでしょうか。その方向を示しているのが「いまと5年後の人事評価尺度は?」という設問です。いろんな評価尺度があり、5年後と現在があまり変わらない項目がありますが、「経営戦略と人事戦略の合致度」、「従業員満足度」、「組織活性度」、「戦略的人材配置の達成度」の4つに関しては5年後がとても高くなっており、高い関心を寄せていることが読み取れます。とくに5年後の「戦略的人材配置の達成度」のスコアは現在の3倍になっており、多くの人事が共有する課題です。
 「人事部門自体の課題は?」についても質問しています。高いスコアになった項目は「経営戦略に沿った人事制度・施策の企画」、「人事育成プログラムやシステム開発」、「経営戦略構築への参画」の3項目。どうやら戦略や育成に対する関心は本物のようです。
 またコメントにはより具体的な記述があります。ご紹介しましょう。
「経営戦略に準じた人事戦略を実行する」
「コスト部門から,経営陣の参謀部門への脱皮」
「管理部門は、変化することに抵抗があるが、革新的に物事を捉え対処していかなければ、グローバル社会での競争に打ち勝てる人材の育成ができない」
「より経営に近いところでの人事政策が必要であると思います。現況の人事の為の人事ではなく、経営の為の人事をより意識しなければならないと考えています」

『人事×経営』の関係性の観点で、自社の現状を点検する

さて世界の変化、日本の抱える問題から始まり、人事の課題まで足早に検証してきました。いま人事は組織変革のプロフェッショナル部門になりえているかを問われており、人事自身が自らを捉えなおすことを求められているのです。そのためのキーワードを最後に挙げておきます。
 □経営は人事部門をどう位置付けているか
 □経営の戦略実行にどう役立っているか?
 □人事自らが変化の先頭に立てているか?
 □管理志向から戦略志向に変わっているか?
 □人事自身にキーパーソンを配置しているか?
 □人事部門自体がグローバル化しているか?
 これらのキーワードを鍵にして自社の人事部門の現状を把握し、戦略人事としてのスタートを切っていただきたいと存じます。

この記事にリアクションをお願いします!