~「採ってはいけない人材」①パーソナリティ編~
最初のパーソナリティ面について、その重要性は、ノーベル経済学賞を受賞した米国のジェームズ教授の研究でも触れられています。彼の研究によると、知的能力に代表される認知能力よりも、パーソナリティ(性格)を表す非認知能力の方が、勤務における評価、賃金、健康等人生の幅広い結果に影響を及ぼすことを明らかにしています。非認知能力であるパーソナリティを評価する枠組みとして、グローバルな性格心理学の分野で最も用いられているのが、ビッグファイブという分類です(※人の性格は欧米人、アジア人、日本人等、人種や地域を問わず5つの性格特性で漏れなく評価できる構造をもっているとする理論です)。
そして、性格心理学の分野では、「性格をどのように把握し評価するか」といった研究と同時に、「どのような性格的な特徴をもった人が、どのような人生を送る可能性が高いのか」といったテーマで多くの研究が行われてきました。
表にあるように、真摯性が高い人は、几帳面で責任感があり、自己を統制できるタイプですが、逆に真摯性が低い人は、いい加減で、飽きっぽく、無責任なタイプです。
つまり、真摯性の低い、「いい加減で飽きっぽい」タイプは、成果や人事評価が高い可能性が少ないため、避けるべき性格面でのリスクと言えるのではないでしょうか。
また、日本における採用時の適性検査の代表格SPIを提供する(株)リクルートマネジメントソリューションズでは、検査受験データと、その後の人事的な評価との関係性について分析した結果を学会(産業・組織心理学会、経営行動科学学会)で発表しています。その結果、人事評価と関係性が高いのは、ビッグファイブ理論でいう所の外向性の概念の一部である「活動意欲/身体的活動性/社交意欲」指標及び、真摯性との関連が深い「達成意欲」指標でした。つまり日本人の場合、真摯性に加えて外向性も重要な指標と考えられるのです。
私たちは、この重要指標二つが両方とも低い「いい加減で飽きっぽく、消極的で非社交的」な人材は、将来の仕事の成果や人事評価が低い危険性が高いため、避けた方がよい性格側面と考えます。