インターンシップを選考に活用する企業が増える

「インターンシップを選考に活用する予定かどうか」を聞いたところ、選考のステップとして「インターンシップ参加者だけを選考対象とする」企業は4%とまだまだ少数派ではあるものの、「インターンシップ参加者のうち、優秀な学生は考慮する」とする企業が45%にも上ります[図表5]。インターンシップを応募の必須条件にするわけではありませんが、インターンシップ参加者のうち、気になる学生については3月以前にも何らかの接触を持つなど、通常ルートとは異なるフォローをすることになるものと思われます。
 4月8日、文部科学省・厚生労働省・経済産業省は、「インターンシップの推進に当たっての基本的考え方」を一部改訂しました。インターンシップによる就職・採用活動について、改訂前は「インターンシップと称して就職・採用活動そのものが行われることにより、インターンシップ全体に対する信頼性を失わせるようなことにならないよう留意」と記述されていましたが、改訂後は「就職・採用活動開始時期前に」という文言を追加して、就職・採用活動開始後に行われるケースは問題ないとの考えを示した内容になっています。それまでは全面禁止とされていた、インターンシップで取得した学生情報を企業の広報活動や採用選考活動に利用することについても、実施可能な時期や事例を明確化するなど、インターンシップと就職・採用活動との垣根が少し低くなってきています。今後、この動きはさらに加速していくものと見ています。
 ※「インターンシップの推進に当たっての基本的考え方」(2014年4月8日一部改訂)
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第38回 2015年3月卒業予定者の大卒求人倍率

全体の3分の2が解禁日前に選考を開始する意向

採用指針によりスケジュールが変更される「2016年新卒採用の面接選考をいつから始めるか」を聞いたところ、新しい選考解禁日である「8月」とする企業は24%、「9月以降」の10%と合わせても34%と全体の3分の1にとどまることが分かりました[図表6]。その他の時期で多かった回答は、これまでと同様の「4月」が18%でトップ、次いで「3月」の10%となっています。新スケジュールになっても、現在とさほど変わらないスケジュールで選考を進めるつもりだという企業が多いようです。
 採用広報解禁は3月とされているにも関わらず、2月以前から選考を開始するという企業も少なくありません。これらの企業は明らかにインターンシップによる母集団形成を前提にしていると考えられます。
第38回 2015年3月卒業予定者の大卒求人倍率
従業員規模別に見ると、大企業では「8月」とする企業が46%あるものの、中堅企業では25%、中小企業に至っては16%にとどまります[図表7]。また、大企業の中でも業種による偏りが大きく、非メーカーだけでみると「8月」は30%にすぎません。
第38回 2015年3月卒業予定者の大卒求人倍率
学生を学業に専念させるために就活期間を短くしようとした今回のスケジュール変更ですが、早期から活動する企業と新しいスケジュールを順守する企業の採用活動時期の差はこれまで以上に拡大し、結果的にはかえって就活期間が長くなってしまう学生のほうが多くなってしまうのではないかと懸念されます。

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