政策によって解決できる労働問題

ブラック企業の問題は深刻ですが、このような労働問題を解決することはできないのでしょうか。政策によって成功した事例があります。
サービス業化した日本では製造業で働く人は2割もいません。2000年以降増えたのは医療介護産業で、11%も増えています。しかし早期離職する看護師が多かったのです。
女性中心の職種なので出産、結婚、介護などの課題が多く、その一方では誤りの許されない仕事というプレッシャー、あるいはクレーマー増加などによるプレッシャーで、早期離職が多かったのです。
そこで大手医療機関は、看護師が自己効力感を持てるようなプログラムを実施するなどの工夫を行いました。とくに効果があったのは2010年4月から新人看護職員研修が法律で努力義務化されたことです。各自治体の指導看護職研修と、その傘下病院への補助提供によって中小病院も一気に変わり、離職率は毎年確実に低下しました。この事例は適切な政策があれば労働問題を解決することができることを証明しています。

沖縄県の県内企業雇用環境改善支援事業の概要

日本のOJTを作り直す~人材育成企業の15要件~
これからお話しするのは、沖縄県の県内企業雇用環境改善支援事業の概要です。2012年度の一括交付金事業であり、企業内人材育成推進者と企業外支援者60名を対象に、80時間の講座を実施しました。同時に県内外のサービス業中心のヒアリングなどで、第一線での個別性の高いサービス業にも適応可能な人材育成企業の要件を整理しました。
その目的は単純です。日本の産業がサービス化する中で、中堅中小企業や新興企業でも適応できる、人材育成企業の要件をまとめ、若者の健全な初期キャリアが形成できる、雇用の質の高い企業の条件を明らかにしたいと考えたのです。
英国にはIIP(Investor in People)というサッチャー政権下でスタートした人材育成組織の認証マークがありますが、IIPを参考にして2013年度以降に人材育成企業認証制度を実施します。
このようなプロジェクトを推進し、ヒアリングするのに沖縄県は最適の地です。日本は製造業中心からサービス業中心へと産業構造がシフトしています。沖縄は1972年に返還され、本土のような高度成長経済を経験しておらず輸出型製造業は存在せず、サービス業しかないと言ってもいいほどなので、サービス業での人材育成を方法論化するのに適しているのです。

人材育成企業の15要件。詳細はネットからダウンロード

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