サッカーを通して、少しでもいい環境を子供たちに。

特別講演「ジーコ流 チームワークとリーダーのマネジメント力」
●寺澤:ジーコさん自身のこれからの夢や、 挑戦されているようなことがあればお聞かせください。

●ジーコ:ライフワークとして、ブラジルで『ジーコ10』というプロジェクトを展開しています。地方自治体と協力して、ブラジル全体で子どもたちにサッカーができる環境作りを進めています。スクールはブラジルの多くの州にあり4万5000人の生徒がおります。ただし、学校でしっかりと勉強し、良い点数をとれないとこのスクールを続けられません。現在、ブラジルでは300万人の小学生が途中で学校をやめてしまう状況があります。子供の教育にとって最も大切な時期であり、何とかしなければならないと思ったことが『ジーコ10』の原点です。子供たちに対し、サッカーによって学校へ通うための動機付けをしながら、社会に貢献していきたいと思いました。まだ300万人には遠く及びませんが、これからも地道な活動を継続し、少しでもサッカーを通して良い環境を子供たちに与えてあげたいと思い、ブラジル中を走り回っています。

●寺澤:日本は今、ブラジルとは逆の少子高齢化に陥っています。日本が衰退していくのではという懸念もありますが。

●ジーコ:少子化の時代を悪いものと考えず、もっとボジティブに捉えても良いのではないかと思います。子供の数が二人、三人から一人へと少なくなったのなら、少ない子供により良いものを提供し、クオリティーの高い人材を社会全体で育てればいいのです。学問の世界やビジネスの世界も、スポーツの世界も同じです。そのためにできること、やれることはたくさんあると思います。

●寺澤:本日はありがとうございます。いかなる状況でも自らリーダーとして姿を示し、自然体で影響を与えていく。一人ひとりの自主性を尊重して、自然体で協力しあうチームを作っていく。まさにそんなジーコさんの姿勢が、いまのJリーグの繁栄につながっていると思いますし、ジーコさんを慕われて人が集まってくるとあらためて感じました。今日はお忙しい中、本当にありがとうございました。

この記事にリアクションをお願いします!