~「採ってはいけない人材」の明確化~
採ってはいけない人材タイプについて検討する際、企業により欲しい人材像が異なるように、厳密には、採ってはいけない人材像も異なるはずです。ですので、欲しい人材像を明確にするとともに、採ってはいけない人材タイプも明確化することが重要だと考えます。さらに、採用のように、短期間で見極めなければならないプロセスはある種、かけに近い面を持ちます。かけの勝率をあげるにはPDCAサイクルを回し、実態を分析し、そこから学び取り次へフィードバックすることが重要です。
具体的には入社数年たった人材について、採用時には良いと思ったにもかかわらず数年たってみると「失敗だった」人材タイプがどのようなタイプだったのか、どうして見極められなかったのか、何に留意すべきであったのかをそこから学び取りフィードバックすることが有効です。例えば、営業マンを採用している企業で、勢いと元気良さを買って採用したが、配属先の現場では、「話を盛り過ぎるところがあり、目標達成にためのごり押しが強く、手段を問わないところが見られるため問題視されている」場合。また、技術者を採用している企業で、物腰が柔らかく、無口で、いつもおちついて話をするタイプを、思慮深い優秀な人材と見込んで採用したが、配属先の現場では、「話のテンポが遅く、こだわりが強いが故に、ピントがずれている事が多く、周囲からはコミュニケーションがとりにくいと評価が低い」場合。
このように、欲しい人材に照らし合わせた時の魅力故に、そこに潜むリスクに気づきにくくなるようです。この点を認識し失敗ケースを学習し、次の採用では、慎重に見極めるようチェックポイントとして追加すべきです。
~共通する「採ってはいけない人材」とは~
上記では、各社個別に、過去の蓄積を次に生かしていくアプローチを紹介しましたが、実際は、そこまで整理立てて蓄積することが難しかったり、様々なケースが次から次に出てくることで対応できなかったりするものです。そこで、多くの企業にとり、共通する「採ってはいけない人材」タイプについて考えてみたいと思います。私どもが採用面でご支援させて頂いている企業のご担当者様、営業活動を通じて情報交換した数百社の採用ご担当者様の声を弊社なりに、集約したものになります。
採ってはいけない人材タイプを大きく三つに分類して捉えると、「①パーソナリティ面」、「②メンタル面」、「③コンプライアンス面」に分けることが可能です。
一点目はパーソナリティ、つまり性格的に成果やパフォーマンスをあげる確度が低い人材を避けるということです。二点目は、最近多くの企業で問題意識が広がっているメンタル不調による戦線離脱(パフォーマンス低下、休職、離職)を防ぎたいという観点です。最後三点目は、コンプライアンス面として、各種不正や問題行動等があげられます。これらの観点から、リスクの高そうな人材は、おおよそどの企業でも本音としては避けたいのではないでしょうか。私たちは、これら大きく三分野に関してリスクが高い人材を、採ってはいけない人材タイプと位置付けて研究しました。学術的、臨床的な研究成果や知見を参考にすることで、採用におけるリスク低減に活かせるのではないかと考えます。その一端を紹介したいと思います。