プレエントリー数の減少を容認する企業は5割強

上記のように賛否両論がある一括エントリーですが、果たして企業はこの仕組みをなくすことに賛成なのでしょうか。一括エントリーの仕組みがなくなれば、企業へのプレエントリー数は確実に減少します。中小企業や知名度の低い企業の場合には、プレエントリー数は半分以下になることもあるでしょう。
 そこで、プレエントリーの在り方について尋ねてみました。結果は、「プレエントリー数が減ろうが、本当に興味がある学生からのプレエントリーだけでいい」(一括エントリー否定派)という企業が54%と過半数を超えたものの、「少しでも興味があればいい」(一括エントリー容認派)が44%、「とにかく数が欲しいので、自社への興味の度合いはそれほど問わない」(一括エントリー積極推進派)が2%と、一括エントリーを肯定する人が46%もいるのです[図表3]。
第39回 2015年新卒採用の現状
プレエントリーが容易に集まる企業群と、知名度や募集学科の関係から思うように集められない企業群とでは、「母集団形成力」が大きく異なり、それにより意見が分かれています。ただし、企業規模別に見ると、大企業や中堅企業よりも中小企業のほうが「プレエントリー数が減ろうが、本当に興味がある学生からのプレエントリーだけでいい」とする企業の割合が多く、60%にも達しています。一括エントリーにより見かけのプレエントリー数は集まるものの、採用につながらない無駄なエントリーが多すぎると感じているのかもしれません。
 メーカー、非メーカー別で見ると、メーカーは63%の企業が「本当に興味ある学生のエントリー」を求めるのに対して、非メーカーでは48%と過半数割れをしています(前掲[図表3])。理系採用に苦労しているメーカーのほうが一括プレエントリーを望んでいるのかと思いきや、外食や流通など就職不人気業界が多い非メーカーのほうが一括エントリーの仕組みを望んでいるということなのでしょう。

理想的なプレエントリー数は採用計画の何倍か

では、採用計画数に対して、どの程度のプレエントリー数があればいいのでしょうか。多すぎれば「落とす作業」に労を割く必要が出てきますし、少なすぎれば選考する余地が狭くなってしまいます。全体集計で最も多いのは「10倍未満」の32%、次いで「10~30倍未満」26%、「50~100倍未満」17%となりました[図表4]。中には、2%ながら「500倍以上」という企業がどの企業規模にもありました。1人の採用に500人以上のプレエントリー、100人の採用であれば5万人以上のプレエントリーということになります。果たしてこれほどのプレエントリー数は必要なものでしょうか?
第39回 2015年新卒採用の現状
プレエントリーの中身の濃さにもよるかと思います。一括エントリーだけで集まったものであれば、果たしてどの程度自社を理解してのものだか分かりませんので、500倍といっても実質的にはその何分の一か、何十分の一の価値しかないでしょう。逆に、一括エントリーの一切ない、企業を詳しく理解してのものであれば、そんな数は到底必要はなくなるでしょう。
 理想的なプレエントリー数を企業規模別に見てみましょう。大企業で最も多かったのは「10~30倍未満」の30%、次いで「50~100倍未満」21%、「100~300倍未満」18%と続きます。「100倍以上」とした企業は24%もあり、4社に1社は「100倍以上」と回答したことになります。
 企業規模が小さくなるにつれ、理想的な倍数は減少し、中小企業では実に42%の企業が「10倍未満」を支持し、次いで「10~30倍未満」26%となります。この二つで7割近くに上り、「100倍以上」とする企業はわずか1割にとどまります。中小企業では、適性検査やエントリーシートでの事前スクリーニングを実施する割合は低く、応募者とは全員1次面接を実施することが多いようです。そのため、面接官の数や会場・時間といった物理的要因から理想の倍率をはじき出している企業が多いものと思われます。

依然として多い郵送エントリーシートタイプ

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