ちょっとした油断で 学生時代の夜型に陥る

動物に擬した5 つのタイプのうち,意外と多いのが「5.コウモリ型」である。昼夜逆転したような生活を送るのは,今の大学生に限ったことではない。何十年も昔の学生もそうだった。ただ,大きく異なる点は,社会人になってもその生活をひきずっている新人が,今や一派を形成しているという点だ。
 原因はインターネットとコンビニの普及である。夜型の生活を助長する因子が現代の日本にはあふれている。そのなかに何年もどっぷり漬かって暮らしてきた若者は,夜型の生活に対する愛着を(意識の有無にかかわらず)捨てきれない。もちろん大半は就職を契機として,新しい生活に順応していくわけだが,研修期間が過ぎて気がゆるむと,再び昔のパターンに戻りかける者が後を絶たないのである。その顕著な例が「睡眠覚せいリズム障害」と呼ばれる症状だ。パソコンやケータイ,ゲームなどに熱中するあまり,朝方まで起きている生活を続けると,そのうち早めに就寝しても寝つけない身体になる。睡眠と覚せいの体内リズムが狂ってしまうのだ。挙げ句,日中に猛烈な睡魔に襲われるようになる。朝は定時までに出社していても,就業中に居眠りする,アポイントを頻繁に忘れる,重大なミスを犯す。
 「たかがリズム障害」と軽く見てはいけない。昨今この障害を専門的に扱う病院も増えたが,症状が重くなると,元の生活に復帰するまで数ヵ月の治療を要する場合さえあるという。
 今まではとても真面目な新人だったのに,最近ぼんやりしていることが多くなったなどという場合は注意を払ったほうがよい。

基本的生活態度を 教えるのも上司の役目

上司が若者とコミュニケーションをとる際に,さりげなく確認したいのが,仕事上の悩みだけでなく,上記の睡眠覚せいリズム障害など生活の基本的な健康に関することだ。そのひとつに,金銭的な問題がある。社会人となって,自分で稼ぐようになったにもかかわらず,むしろ生活が逼迫したという若者がけっこう多い。学生時代は親からの仕送りとアルバイトで優雅な生活をしていたのだが,仕送りがストップし,初任給では今までの生活を維持することが困難になる。都会での単身生活者によくあるパターンだ。
 お金が足りなければどこかで借りればいいという風潮は,若い世代に蔓延している。「あるものでやりくりする」という考え方を十分に教え込まれてこなかったからである。「借りてやりくりする」うちに困った事態に陥る者が,筆者のクライアント先の会社でも散見される。日々の生活に関する常識についても,職場の上司が教えなければならない時代なのである。
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