「世界最高の人事部」と評価される P&Gの考え

グローバル先進企業の事例から学ぶ人事部門の戦略的変革 クラウド・BPO等の活用による機能変革の考え方
人事部の理想的なあり方の一例として「世界最高の人事部」と評価される P&GのHRについて紹介したい。
P&Gのホームページを見ると「ビジネスリーダー(経営者)の目標を達成するために、文字通り”ビジネスパートナー”として、その組織のビジネスを深く理解し、目標達成に必要な組織・人材戦略をたて、その戦略を具体的な人材経営のアクションへと結び付け、その実行をサポートする人事コンサルタント的な役割」と、人事部の仕事が定義されている。
人材・組織経営のプロとして、ビジネスの更なる伸長や、競争上の優位性を創造・維持することが人事の仕事であり、給与計算などのオペレーションは人事の仕事ではない。
しかしながら、日本の人事部の現状は、オペレーションの仕事に約60%人事のリソースを割いている。戦略人事に関わっている方は40%程度。グローバル企業と競争していくためには、こうした状況を変えなければならないと思う。

コア業務とコンテクスト業務を切り分ける

米国の著名なコンサルタントであるジェフリー・ムーア氏は、その著書の中で、企業が遂行すべき業務を2種類に分類している。一つがコア業務、もう一つがコンテクスト業務(ノンコア業務)。給与計算などはまさにコンテクスト業務といえる。
コア業務こそ、企業がターゲットとする市場における自社製品あるいはサービスの優位性に、直接の影響を与える業務であり、またコア業務は、企業が他社の製品・サービスに対して差別化を進めていくための、重要な鍵なのである。
言うまでもなくその目的は、他社に対する競争優位性を継続して生み出し続けることにある。また、違いを作る自社にしかできないコア業務にこそ、経営資源を集中的に投入すべきである。
コンテクスト業務を社内に抱え込むと、マネジメント・アテンションを含む希少な経営資源を浪費し、競争優位性の獲得を阻害するという事業戦略上の問題が起こる。
企業の競争にはつながらないコンテクスト業務を自社で行うことは、業務体制を維持する費用や、業務を習熟するまでの育成期間が必要になる。直接利益を生み出す仕事でないにも関わらず、そこには大きなコストがかかっている。当然ながら、そうしたものが累積していくと、企業の競争力も低下する。

コンテクスト業務をアウトソーシングする流れが来ている

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