アウトソーシングを活用し、人事部を世界と戦える戦略部門に。
競争環境のグローバル化が進む中、人事部門の貴重な人材を、戦略人事へと集中するため、クラウドの活用やBPOといった、外部の経営資源を有効に活用する取り組みが国内外で活発化している。人事が企業の競争を左右する時代において、こうした取り組みの考え方と推進事例や成功のポイントについてお話しされた、ラクラス株式会社 取締役 村田 一 氏の講演内容を紹介する。
競争環境のグローバル化が進む中、人事部門の貴重な人材を、戦略人事へと集中するため、クラウドの活用やBPOといった、外部の経営資源を有効に活用する取り組みが国内外で活発化している。人事が企業の競争を左右する時代において、こうした取り組みの考え方と推進事例や成功のポイントについてお話しされた、ラクラス株式会社 取締役 村田 一 氏の講演内容を紹介する。
「人事部門にゆとりを提供する」が企業理念
私を含め、ラクラスの創業メンバーは、ソフトバンクグループにおいて、人事と総務のシェアードサービスセンターの運営に携わっていた。ソフトバンクグループは、シェアードサービスの設立において先駆者だった。ラクラスは、BPO (Business Process Outsourcing) においては人事情報管理や給与計算というサービスを、そしてITアウトソーシングにおいてはワークフロー、就業管理、人事情報データベース、給与計算システムといったソフトウェアの機能を提供している。
パッケージソフトを購入し、自社のシステムで運用するのではなく、ラクラスのクラウド基盤上に実装されたソフトウェアを利用するといったスタイルでサービスを活用できる。
ラクラスは2005年に設立され、2009年に事業が黒字化、2010年には導入企業が100社を突破した。「人事部門にゆとりを提供する」が企業理念であり、今日の講演テーマである「人事部門の戦略的変革」と「ゆとりを提供する」は同義の意味と捉えている。
人こそが差別化や競争優位を生み出す唯一の経営資源
人事機能のあり方は、時代とともに、経営戦略と密接に関わりながら変わってきた。80年代までは、人材は事業を動かしていくために必要な「コスト」という視点が強かった。多くの資本を集め、大きな設備投資を行うことで勝者とななれる、製造業に競争力があった時代だった。
90年代以降、IT革命の影響で差別化を生み出す力の源は、資金から人材へとシフトした。立ち上げたビジネスモデルが早く陳腐化、キャッチアップされる時代になり、人材に対する考え方も、人は単なるコストではなく、経営戦略にとって重要な要素という考え方に変わってきた。
一橋大学の楠木氏の言葉だが、「競争戦略の本質は、いかにして他社との違いを作ることにある」と言われている。今は違いを作り出せないと、企業として生き残っていけない。人こそが差別化や競争優位を生み出す唯一の経営資源である。
また、人材を的確に動機付け、企業の発展のために、差別化要因を生み出してもらえるよう働きかけなければならない。そしてこれこそが、人事部のコア業務である。人材を動機付け、事業戦略の実現に貢献することに、人事部の本業はある。