海外企業はタレントマネジメントをこのように統合している
次に、「ラーニングマネジメントからタレントエクスパンションへ」という今日のテーマに関して、理論的な立場からショート講演を行ったのが石山氏。「ラーニングマネジメントはタレントマネジメントの一部分であり、タレントマネジメントは、統合されることによってタレントエクスパンションにつながっていく」。そう説明した石山氏は、「タレントマネジメントにはたくさんの要素が含まれるが、社内でタレント、すなわち能力ある人を伸ばしていくには、これらの施策をバラバラにやっていてはだめで、統合しなければならない」と強調し、採用、報酬、パフォーマンスマネジメント、後継者計画、リーダーシップ開発といったところが統合的にできているか、また、採用部門、異動を司る部門、人材開発部門が「タレントを育てる」という同じ基準でできているかということが問われると指摘した。とはいえ、こうした統合は簡単ではない。石山氏は「タレントを育てるということでは、人材開発部門が中核になっていかないとなかなか進まないのではないか」と見解を述べたうえ、タレントマネジメントの統合例として海外企業の事例を紹介した。「たとえば、GEでは採用でもリーダーシップアセスメントでもトレーニングでも、全てにバリューが関与している。また、レッドロブスターなどを展開するダーデン・レストランは、お客様に特別な場を提供することで利益を出すという『ありたい姿』に基づいて、それに合うタレントを育てようと人事の機能を全て統合していった。一方、マクドナルドでは、ありたい姿から入って一気に統合するのも難しいので、まず、なかなか評価が可視化されず差がついていなかったパフォーマンスマネジメントの部分を見える化した。そこを突破口にして、次々に統合を進めていったケースだ」。