グローバルや人材育成という言葉に対する違和感

これからの人事のキャリアアップの方向性
日置 コマツに1975年に入社し、37年3カ月を無事に務めて昨年に退任しました。入社して工場の勤労課に配属されたのですが、その時にこんなに勤勉に働く人たちがいるのかと驚きました。その後1979年に本社人事部に配属され、新卒採用を経験して人事の面白さに目覚めました。

1980年代から90年代半ばまではイギリスの現地生産立ち上げやアメリカの現地法人の人事ディレクターを務めました。それから本社に戻り、2003年から人事部長、人事担当の執行役員、常務執行役員を経て、昨年の退任になります。

そういう経験を踏まえ、人事屋として違和感を抱いていることを話します。まず昨今ブームになっている「グローバル」というわけのわからない言葉に違和感を持っています。グローバル論議では、コミュニケーションツールとしての語学力や文化の違いが強調されていますが、わたしは違いがあるにしても、それほど騒ぎ立てるような違いではないと思います。よく「日本人は勤勉」と言われ、確かに工場では勤勉に働く人ばかりなのに驚いたのですが、英米に行ったら、やはり勤勉に働いているのです。

コミュニケーションにしても、伝えようという意欲があれば伝わります。イギリスのパブで酒を飲みながら隣の人の肩をたたけば、へべれけ共同体ができるのです。

人がそんなに違っているわけではありません。人はみな浪花節というのが、わたしが海外体験で得た結論です。昨今のグローバル論議は本質を取り違えているのではないでしょうか。

それから人材育成という言葉にも違和感を覚えます。あまりに安易に人材育成という言葉が使われていますが、そもそも教育で人は育ちません。人が育ち、学習する社員を支援するのが人事であり、上から目線で育成しようとしてもできるはずがないのです。

大事なのは社員目線で考えること。そして社員を幸せにすること。幸せにするから人事の仕事は楽しいのです。だからわたしは人事の方にこう言いたい。Enjoy working!

プロフェッショナルの3要素

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