変化が加速する世界、問題が放置されている日本
変化が恒常的に起き続け、世界が不安定になっている様子は、日々のニュースを見ていれば容易に読み取れます。まず世界の状況を見てみましょう。各国経済が連動し金融不安が世界に飛び火、TPP、EPAなど経済連携による新市場の創出、成長著しいアジアの世紀、人口増加と新興国の成長を背景に深刻化する食糧・エネルギー問題、産業構造変化の加速、IT・ネットが変える世界。
ヒト・モノ・カネが国境を超える時代が変化を招き寄せているのです。
足元の日本に目を転じましょう。どのような問題が起きているでしょうか。日本企業が直面している問題を雇用の側面から整理してみましょう。
少子高齢化社会、年金問題、グローバル人材の不足、非正規雇用の増大、進展しない女性活用、進まぬ大学改革、そして直近では新卒採用の時期問題がありました。このように世界の変化と日本の問題を並置すると、世界でダイナミックに変化が起きているのに、国内ではアンシャンレジームの旧弊から脱しきれず、問題が放置され続けている様に読み取れます。
アベノミクスの成長戦略と雇用政策
日本にも希望の光は見えています。昨年末に誕生した安倍政権が激変する世界のなかで、より困難な問題が山積する日本で、持続的な新たな成長戦略に挑戦しようとしています。そして政権誕生からわずか半年で経済環境は大きく変わり、日本企業は元気を取り戻しつつあります。アベノミクスの成長戦略が長期的な成功を収めるのかどうかは現時点ではわかりませんが、日本が先送りにしてきた問題を安倍政権が直視し、変えようとしている姿勢をわたしは高く評価します。
雇用問題に関して安倍政権が示している方向を整理してみましょう。まず雇用の流動化(成長産業への労働力移動)が挙げられます。どのように労働者を他産業に移動させるのかは大きな課題ですが、成長産業シフトが必要という点では妥当な政策でしょう。
次に若年者、シニア、女性などの人材力強化を掲げています。これも少子高齢化が進む日本にとって喫緊の課題です。
また多様な働き方についても提示を行い、今回は見送られましたが解雇規制の緩和にも踏み込んでおり、本気度が伝わってきます。