規模の大小、メーカー、非メーカーで異なる「人事管理システム」の導入状況
「人事管理システム」の導入状況では、「導入済み」は全体では55%であるが、メーカー系は70%と導入が進んでおり、非メーカーは44%と低い。
またグラフに示すように規模が大きいほど導入は進んでおり、小さいほど遅れている。
特に導入が進んでいるのはメーカー系の「1001名以上」であり94%とほとんどの企業が導入済みだ。そして「301名~1000名」では72%、「300名以下」では50%と低くなっていくが、「導入を検討中」が多く、総じてメーカー系は人事管理システムの必要性を認識している。
図表1 メーカーの人事管理システム導入状況
非メーカー系も規模によって導入度合いが異なっている。「1001名以上」67%、「301名~1000名」64%と大差ないが、「300名以下」は30%と低い。
規模が大きいほど導入が進んでいるのは、社員数が多く手作業での管理が非効率、あるいは無理だからだろう。非メーカー系で導入が遅れている理由は、なぜだろうか。メーカーでの導入が、生産現業職の管理を主目的としているケースが多いのかもしれない。
図表2 非メーカーの人事管理システム導入状況
人事管理システムの開発形態については、全体の61%がパッケージだ。メーカー系では67%、非メーカー系では56%がパッケージ。自社オリジナル開発は4割程度にとどまっている。もっともこれから述べる他のITシステムに比べると、人事管理システムの自社オリジナル開発比率は高い。
企業によって管理項目が異なっているので、パッケージのカスタマイズが困難だったりコストがかかったりするので、最初から自社開発というケースが多そうだ。
人事管理システムの利用環境は、全体の70%が自社サーバ型と圧倒的だ。2位はPC12%との差は大きい。近年急増中のクラウド型は10%にとどまっている。5年後、10年後にはクラウド型が増えているだろう。
図表3 人事管理システムの開発形態
大きな差異が認められない「給与計算システム」の導入
人事管理システムでは、メーカー、非メーカー、規模別で大きな違いが出たが、「給与計算システム」の導入については大きな差異は認められない。全体の83%が導入済みであり、2%が導入予定。ほとんどの企業が給与計算システムを使っている。給与計算はシステム化しやすく、人事の負担を軽減できる。多くの企業が導入するのは当然だろう。
図表4 給与計算システム導入状況
「給与計算システム」の開発形態はパッケージが圧倒的に多い。「人事管理システム」の開発形態と比較するとメーカー系は同じ数字だが、非メーカー系はかなり多い。非メーカー系の人事管理システムの開発形態はパッケージが56%だったが、「給与計算システム」は76%である。
図表5 給与計算システムの開発形態
「給与計算システム」の利用環境で目立つのは、PCの利用が多いことだ。「人事管理システム」の利用環境では、自社サーバ型が最も多く7割を占めたが、「給与計算システム」の利用環境では58%と少なく、PCが23%とかなり多い。
規模別に見ると、「1001名以上」の企業ではPCを利用していないが、小規模企業ほど利用が多くなり、「300名以下」では4割近くになっている。逆に規模が大きくなるにつれて多くなるのがクラウド型。「1001名以上」では15%に達している。
規模別で大きな差がある「勤怠管理システム」の導入状況
「勤怠管理システム」の導入状況は、メーカー・非メーカーでは大差はないものの、規模による差はきわめて大きい。
図表6 勤怠管理システム導入状況
「勤怠管理システム」の開発形態でも多いのはパッケージだ。全体の6割弱を占め、自社オリジナル開発は4割弱にとどまる。
「勤怠管理システム」の利用環境で最も多いのは自社サーバ型67%だが、クラウド型10%、PC10%、オフコン6%、その他6%と分散しており、他の人事ITシステムの利用形態と傾向が異なっている。
規模別で見ると、規模が大きくなるほどクラウド型が増え、小さくなるほどPCが多い。メーカー系・非メーカー系ともに「1001名以上」の企業でPCを使う企業は皆無だが、非メーカー系「300名以下」ではPC利用が47%と半数に近い。
図表7 勤怠管理システムの開発形態
これらのデータから見ると、勤怠管理システムについては、新しいシステムに切り替えた企業と旧来システムを使い続けている企業が混在しているような印象を受ける。
導入が遅れる「研修受講管理システム」
これまでの人事ITシステムは導入している企業が過半数だったが、「研修受講管理システム」は違う。導入している企業は4分の1に過ぎない。「導入を検討中」8%を含めても33%。3社に1社である。
ITシステムの導入に際しては、初期投下コスト・運用コストをベネフィットと比較検討するが、「研修受講管理システム」にそれほど多くのコストはかからないはずだから、ベネフィットが小さく優先順位が低いと判断しているのだろう。ただし、社員数が多くなれば他のシステム同様に必要なシステムであると思えるのだが。
図表8 研修受講管理システム導入状況
次回は、タレントマネジメントシステムとBPOにフォーカスする。
【調査概要】
調査主体:HR総合調査研究所(HRプロ株式会社)
調査対象:上場および未上場企業の人事担当者
調査方法:WEBアンケート
調査期間:2012年4月13日~25日
回答者数:163社(メーカー69社、非メーカー94社)
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