HR総研と楽天みん就は、2024年新卒学生(以降、24卒学生)の就活動向の実態を明らかにするため、2023年3月に楽天みん就会員である24卒学生を対象としたアンケートを実施した。本調査結果について「就職活動編」と「就職意識編」の2回に分けてレポートする。2回目の本レポートでは、24卒学生の「就職意識編」についてフリーコメントを含めて報告する。
<概要>
●24卒学生の就職活動に対する不安感、文系で6割近く
●最も志望する業界のトップは、文系理系ともに「情報処理・システム開発」
●就職志望先の「大手志向」は文系で6割、理系では7割に
●就職前から「将来の転職意向」が6割、起業は5%未満
●「将来、就きたいポジション」に「事業部長・部長」がトップ
●最も重視する「会社の魅力」に文系では「安定性」、理系では?
●自身が持つ専門性の活かし方、文系と理系で異なる傾向
●内定後フォローに望むもので「内定者/若手社員との懇親会」が上位に
●新卒一括採用か通年採用方式、望ましい理由から見える学生の葛藤
●「ジョブ型(職種別)採用の拡大」に過半数が賛成、理解不足による不安も
●「新卒採用における特別処遇導入」に6割以上が賛成
●7割以上の学生が「在宅勤務」に賛成、働き方の選択権を求める
24卒学生の就職活動に対する不安感、文系で6割近く
まず、24卒学生が抱く就職活動に対する所感を見てみる。
自身の就職活動に対する所感は、「不安を感じている派」(「不安である」と「やや不安である」の合計)は文系で56%、理系で41%となり、文系の方が不安を感じている学生の割合が高いことがうかがえる(図表1-1)。この傾向は、昨年度実施した23卒学生の就職活動調査の結果と同様となっている。
【図表1-1】就職活動に対する所感
「不安を感じている派」の不安の要因を見てみると、文系・理系ともに「面接が苦手だから」が最多で、それぞれ58%、67%と6~7割近くにも上っている。これに次いで「内定を得られるか不安なので多くの企業にエントリーする必要がある」がそれぞれ43%、47%となり、上位2項目は文系・理系ともに同じ理由が挙がっている。上位5項目の中で文系が理系より特に多く挙げているのは、「筆記試験が苦手だから」(42%)や「自己分析ができていないから」(33%)で特徴的となっている(図表1-2)。
【図表1-2】就職活動に対する不安の要因
最も志望する業界のトップは、文系理系ともに「情報処理・システム開発」
24卒学生が最も志望する業界の上位10業種を見てみると、文系・理系ともに「情報処理・システム開発」が最多となっており、文系17%、理系31%となっている。また、文系では同率1位に「通信、ネットワーク」が挙がっている。これまで文系学生に人気の高かった「総合商社・専門商社」(15%)を抑えて理系と同様にIT系の業種が首位となっているのが特徴的で、IT人材のニーズが急速に高まっている社会の動きが顕著に反映されていると推測される(図表2)。
【図表2】最も志望する業界TOP10
就職志望先の「大手志向」は文系で6割、理系では7割に
就職志望先の企業規模について見てみる。
「就職を志望する企業規模」については、文系で「できれば大手企業に行きたい」が最も多く47%、「絶対大手企業に行きたい」の14%と合わせると61%と6割が「大手志向」となっている。一方、「企業規模は問わない」は25%と4分の1となっている。「大手志向」の割合は22卒で47%、23卒では52%であったのと比較すると、急激な変化ではないものの、文系学生の中で大手志向が堅調に上昇している傾向も見られる。
理系でも「できれば大手企業に行きたい」が最も多く47%、「絶対大手企業に行きたい」の22%と合わせると69%とほぼ7割が「大手志向」となっており、文系より8ポイント高く、例年どおり理系の大手志向が強いことがうかがえる。一方、「企業規模は問わない」は18%で2割未満にとどまっている。23卒調査の結果と比較すると、「大手志向」は23卒の64%に対して24卒では5ポイント上昇し、逆に「企業規模は問わない」は23卒の25%に対して24卒では7ポイント低下しており、理系でも大手志向の微増傾向が見られる(図表3)。
【図表3】就職を希望する企業規模
就職前から「将来の転職意向」が6割、起業は5%未満
次に、「今後の就業における転職・起業への意識」について見てみる。
「最初の会社で定年まで働きたい」の割合は、文系の38%に対し、理系では36%となり、文系と理系で大きな意識の違いは見られない。一方、「転職してもよい」(「3回くらいまでなら転職してもよい」と「回数にこだわらず、転職してもよい」の合計)は、文系60%、理系63%で、文系・理系ともに6割程度の学生が、既に転職に対する前向きな意識を持つ傾向にある。「起業」は、文系・理系に関わらず5%未満にとどまっている(図表4)。
【図表4】今後の就業における転職・起業への意識
「将来、就きたいポジション」のトップは「事業部長・部長」
「将来、就きたいポジション」については、文系・理系とも「事業部長・部長」までの昇進を望む割合が最も多く、それぞれ33%、39%となり、理系の方が6ポイント高い。また、「専門職」も文系より理系の割合が高く、それぞれ5%、10%となっており、専門性を活かしやすい傾向にある理系の方がやや高くなっている。一方、「役職に就きたくない」は文系が理系より6ポイント高く16%となっている。文系と理系では自身のキャリアイメージが異なる傾向にあることがうかがえる(図表5)。
【図表5】将来、就きたいポジション
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【調査概要】
アンケート名称:【HR総研×楽天みん就】2024年卒学生の就職活動動向調査(3月)
調査主体:HR総研(ProFuture株式会社)、楽天みん就(楽天グループ株式会社)
調査期間:2023年3月7~22日
調査方法:WEBアンケート
調査対象:2024年卒業予定の「楽天みん就」会員学生
有効回答:401件
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