民間調査機関の(財)労務行政研究所(理事長:矢田敏雄、東京都港区東麻布1-4-2)では、今年4月入社者の決定初任給を調査し、4月6日までにデータの得られた東証第1部上場企業231社について速報集計をまとめた。

東日本大震災から1年、欧州債務問題や原油価格の高騰、円高など、景気はいまだ本格的な回復に至っておらず、雇用環境の厳しさも続いている。そのような中、今回の速報集計では、94.8%とほとんどの企業が初任給を前年度と同額に据え置く結果となった。初任給の据え置き率は2002年度から4年連続で95%を超えていたが、06年度以降は企業の採用意欲の高まりを反映し、低下傾向にあった。しかし、世界的不況に陥った09年度は一転、92.7%と再び9割を超え、以降その状況が続いている。
 初任給は、大学卒で20万4782円、高校卒で16万883円の水準。同一企業で見た昨年度の金額に比べ、それぞれ213円・0.1%、17円・0.0%の上昇にとどまった。

【調査要領】
1.調査項目
2012年度の賃金見直しによって確定された2012年4月入社者の決定初任給(学歴別)。なお、初任給は原則として時間外手当と通勤手当を除く、諸手当込みの所定内賃金である

2.調査時期・方法
3月中旬~4月6日。調査票の郵送と電話取材により調査

3.調査・集計対象
東証第1部上場企業1592社と、生命保険、新聞、出版でこれに匹敵する大手企業11社を加えた合計1603社のうち、回答のあった231社を集計

初任給の据え置き状況

「据え置き」が94.8%で、内訳は「全学歴据え置き」がほとんど。「全学歴引き上げ」は3.0%にとどまる[図表1]

据え置き率の推移

2002年度から4年連続で95%を超えていたが、06年度以降は企業業績の回復や団塊世代の大量退職などを背景とした企業の採用意欲の高まりを反映し、低下傾向にあった。しかし、世界的不況に陥った09年度は一転、再び9割を超え、以降その状況が続いている [図表2]

初任給の水準

大学卒(一律設定)20万4782円、大学院卒修士22万2933円、短大卒17万2289円、高校卒(一律設定)16万883円

主な学歴別に見た上昇額の分布

いずれの学歴でも、「据え置き」が9割以上を占める。平均上昇額は、大学卒で213円、高校卒で17円

本プレスリリースに関する問い合わせ先

(財)労務行政研究所 編集部 担当: 田中 / 荻野 TEL:03-3586-2100(調査室直通)

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