テレワークの普及により、社員ごとの状態の迅速な把握と対応がますます重要になっている。人材マネジメントにおける「データ活用」の重要性が叫ばれる中、各企業の取り組みの実態はどのようになっているのだろうか。また、「データ活用」の重要性を認識しつつ、これが進展していないとすれば、何がネックになっているのだろうか。
本レポートでは、各企業の人事データ収集・活用に関する取り組みの実態を明らかにするとともに、人事データ活用に向けた課題等について、フリーコメントを含めて紹介する。

<概要>
●中堅・中小企業でデジタル化に遅れ、「職務経歴情報」もデジタル管理は半数程度
●社員データの収集・活用方針、積極派は約3割、大企業では4割超
●大企業では「データは収集できているが、分析が十分でない」が約5割
●データ収集・活用における課題は、人的リソース不足が約5割で最多
●「実施したい/頻度を増やしたい」調査は、「従業員満足度」が最多で4割超

中堅・中小企業でデジタル化に遅れ、「職務経歴情報」もデジタル管理は半数程度

まず、企業の人事関連データの収集・蓄積状況について見ていこう。「デジタル化して保有している人事関連データ」については、「氏名・住所・生年月日・性別等の基本情報」が最多で87%、次いで「勤怠情報」が80%、「評価情報」が60%などとなっている。入社時に収集するデータや、労務管理上で必要となるデータについてはデジタルデータ化が進んでいるが、「モチベーションやエンゲージメントに関する情報」(13%)や、「1on1の記録などコミュニケーションに関する情報」(6%)等、従業員のその時々の状態を把握するための情報をデジタル化して保有している企業はまだ少数であることが分かる(図表1-1)。
企業規模別で見ると、ほとんどの項目において企業規模が大きいほどデジタルデータでの管理が進んでいることが分かる。「職務経歴情報」については、従業員数1,001名以上の大企業では75%となっているのに対し、従業員数301名~1,000名の中堅企業では50%、従業員数300名未満の中小企業では46%と、大企業とそれ以外の企業規模でデジタル化の取り組みに大きな差異が見られた。また、「学歴情報」「キャリアに関する意向等の情報」等の項目でも同様の傾向が見られた(図表1-2)。

【図表1-1】デジタル化して保有している社員に関するデータ

人事データの収集・活用に関する実態調査

【図表1-2】企業規模別 デジタル化して保有している社員に関するデータ

人事データの収集・活用に関する実態調査

社員データの収集・活用方針、積極派は約3割、大企業では4割超

次に、「社員データの収集・活用の方針」については、「非常に積極的」(6%)と「やや積極的」(21%)が合わせて27%であるのに対し、「非常に消極的」(7%)、「やや消極的」(10%)は合わせて17%となっており、積極姿勢の企業の方がやや多い結果となった。ただし、「どちらともいえない」が56%となっており、人事データ収集・活用に対する方針が明確に示されていない企業が最も多いようだ(図表2-1)。
企業規模別に見ると、大企業では「非常に積極的」(12%)、「やや積極的」(30%)を合わせた積極派が42%となっているのに対し、中堅企業では25%、中小企業では23%となっており、大企業と中堅・中小企業の間で大きな差異が見られた。従業員数1 ,000人を超える大企業となると、従業員の状態の把握が難しくなるため、データ活用の必要性が増すということだろう(図表2-2)。

【図表2-1】社員データの収集・活用についての方針

人事データの収集・活用に関する実態調査

【図表2-2】企業規模別 社員データの収集・活用についての方針

人事データの収集・活用に関する実態調査

大企業では「データは収集できているが、分析が十分でない」が約5割

次に、「社員データの収集・活用の現状」については、「データは収集できているが、分析が十分ではない」が最多で33%、次いで「収集すべきデータは分かっているが、課題があり収集できない」が21%、「推進が必要と考えているが、どのようなデータを収集すべきか分からない」が17%などとなっている(図表3-1)。
企業規模別で見ると、大企業においては「データは収集できているが、分析が十分でない」が46%と最多となっており、次いで「推進が必要と考えているが、どのようなデータを収集すべきか分からない」と「分析はできているが、人事施策等への活用が不十分」がともに16%となっている。中小企業・中堅企業でも「データは収集できているが、分析が十分でない」が最多となっているが、「収集すべきデータは分かっているが、課題があり収集できない」は大企業が12%であるのに対し、中堅企業で21%、中小企業で25%などとなっている。大企業ではデータの分析や人事施策への活用に課題を抱えているのに対し、中堅・中小企業では、データ収集以前の段階が課題となっていることが分かる(図表3-2)。

【図表3-1】社員データの収集・活用の現状

人事データの収集・活用に関する実態調査

【図表3-2】企業規模別 社員データの収集・活用の現状

人事データの収集・活用に関する実態調査

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HRプロとは

【調査概要】

アンケート名称:人事データの収集・活用の実態に関する調査 
調査主体:HR総研(ProFuture株式会社)
調査期間:2021年2月22日~2月28日
調査方法:WEBアンケート
調査対象:企業の人事責任者、人事担当者様
有効回答:237件

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