株式会社ヒューマンキャピタルテクノロジー 取締役
渡邊 大介氏
2006年サイバーエージェントに入社。広告部門で大手ナショナルクライアントの広告を担当し、MVPを二期連続で獲得。その後、新規事業→人事採用・育成責任者を経て現職。 マーケティング思考を取り入れた数多くの新しい人事施策を同社で実践。昨年より行われたリクルートとの新規事業創出プログラム「FUSION」でグランプリを獲得し、HCT社の起ち上げに参画。
HRテクノロジーの分野では、ニーズに合わせて、さまざまなシステムが存在します。しかし、機能は優れているものの、複雑すぎて活用しきれていないという声もよく聞きます。そんななか、サイバーエージェントの自社活用のノウハウを結集して、リクルートとともに提供を開始したのがHRテックの入門編とも言えるツール「GEPPO」です。 毎月従業員に簡単な質問をして、結果を蓄積していくことで一人ひとりのコンディションや強み、組織の状態などを把握するパルス・サーベイと言われる仕組みであり、使い方によってはタレントマネジメントデータベースにもなります。 開発の背景などを、運用に携わっている同社人材科学センターの向井真弓氏と、新会社を設立してGEPPOの商品化に取り組んでいる渡邊大介氏に訊きました。
GEPPOは「第6回 日本HRチャレンジ大賞・イノベーション賞」を受賞されました。おめでとうございます。
私は審査委員の一人としてこの審査に関わりましたが、GEPPOはシンプルでありながら経営に役立つ情報を毎月提供できる点が評価されました。HRテクノロジー製品は複雑なものが多いのですが、GEPPOは毎月、従業員に質問を3つだけして、それを集積していくという、ある意味単純な仕組みですね。それでいてタレントマネジメントシステムにもなっていて、経営に活かされている。そもそも、どうしてこういったものを作ることになったのでしょうか?
向坂氏適材適所を図るため社員の今のコンディションと志向性、強みを訊くことを目的に作りました。社員が増えていくと、どうしても一人ひとりの声が会社に届きにくくなります。 そこで月1回くらい、月報の頻度で社員全員の声を回収できないかということで開発がスタートし、2013年7月より運用を開始しました。
渡邊氏サイバーエージェントでは、2011年頃から全社的な事業変革があり、それにともなって大規模な人事異動が発生したんです。同時にエンジニアを大量に採用しはじめました。組織が変化しながら急激に拡大したわけです。それによって社員の顔と名前が一致しなくなったり、組織の細かいところまで経営の目が行き届かなくなったりといった事態が発生してきました。
そんな、組織が大きくなることによって生じる「ひずみ」のようなものを解消したいという気持ちが経営陣にも社員にも大きくなった、ということもGEPPOの開発・浸透の背景にはあると思います。
GEPPOはスタート時から今の形だったのですか?
向坂氏2015年に大きくリニューアルをしています。画面の見せ方も変えましたし、社員をフォローしやすい仕組みを入れるなどの変更も加えました。他にも、いろいろ試行錯誤をしながら変えてきています。
現在は3問を訊く形になっています。先月の個人の成果を天気マークで答えるというものと、その人から見たチームのコンディションをやはり天気マークで答えるというもの、それと毎月異なる質問をします。それ以外に、500字程度のフリーコメントも記載できる形になっています。
毎月異なる質問というのは、どのように決めているのですか?
向坂氏個人としての成長実感や稼働状況など、年に2回くらい決まって訊いているものもありますが、それ以外は毎月何時間か担当部署で議論をして、その都度新しい質問を設けるようにしています。
運用は最初からうまくいったのでしょうか?
向坂氏導入直後の社員の入力率は40%くらいでした。そこで、担当部署のスタッフが書いていない社員のところに行ったり、上長に連絡するなどして記入を促しました。それで会社の本気度が社員に伝わり、96%に跳ね上がりました。その後、同じくらいの入力率で推移しています。最初から50%くらいの入力率でいいということにしていたら、今頃苦労していたと思いますね。
導入してみて分かったこと、改善したことはありますか?
向坂氏最初は本人の成果や志向性だけを訊いていました。しかし、それでは適材適所を図るためのデータとしては不十分ということが分かりました。そこで、組織のコンディションや組織の課題も訊くようになりました。
経営サイドはGEPPOのデータをどのように活用しているのでしょうか?
向坂氏適材適所を図るために活用しているのはもちろんのこと、GEPPOで蓄積されていくデータを分析すると・・・
G17 | 9/21(木)15:35 - 16:35 | 事例で学ぶ「本当に使える『HRテック』導入ガイド」 |
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2006年サイバーエージェントに入社。広告部門で大手ナショナルクライアントの広告を担当し、MVPを二期連続で獲得。その後、新規事業→人事採用・育成責任者を経て現職。 マーケティング思考を取り入れた数多くの新しい人事施策を同社で実践。昨年より行われたリクルートとの新規事業創出プログラム「FUSION」でグランプリを獲得し、HCT社の起ち上げに参画。
一橋大学社会学部卒業後、2003年にサイバーエージェントに新卒で入社。 インターネット広告代理事業の営業、マーケティング、SEMコンサルを経験。 現在は人事部門内組織である人材科学センターにて、人事データの収集や分析を行っている。