「ノウフー(Know Who)」とは、ナレッジマネジメントの一環で企業内の人的資源情報データを検索できる仕組みをいいます。

各従業員が持つ専門的なスキルや知識、経験値やノウハウを把握しておき、それを必要とするプロジェクトや人に結びつけることで知識の有効活用を図ることが目的です。従業員数が多ければ多いほど、入れ替わりが激しければ激しいほどに、「どこにどのような業務のエキスパートがいるのか」、「誰がどのような知識を持っているのか」を把握することは困難になります。

利用価値のある情報が使用されない、必要な時に迅速に見つけることができない、誰に何を聞いたらよいかわからにといったことこそ企業の人的資源や知的資源を無駄にしていることといえます。問題に直面した時、一番頼りになるのは人脈です。誰に聞けばよいのかがわかっていることによって無駄な動きをなくし、的確なアドバイスを得ることが可能になります。このように、社内に眠る暗黙知や専門知識、ノウハウを流通させるためにもノウフーの導入は必要不可欠なものとなってきています。

導入方法は様々あります。人事のデータベースに追加登録する方法もありますが、従業員が自身で自分の強みや経験値などの情報をデータベースに登録し、社内のイントラネットで稼働させるシステムが主流となってきています。このシステムのおかげで従業員は必要な時に必要な知識を持った人を探し出し、迅速に連絡を取ることができます。

また、電子掲示板や社内ブログ、社内SNS(Social Networking Service、ソーシャルネットワーキングサービス)などのグループウェアを導入し、従業員間のコミュニケーションを活発化することでノウフーを実践する企業もあります。

大手企業の例では、NTT東日本の社内SNS「Sati」があります。2005年に10人から開始したその2年後には7500人以上の従業員が参加する巨大社内ネットワークへと成長しました。これは、当時のNTT東日本グループ全従業員の約15%に相当します。

サイト内に開設されたコミュニティの数は337。うち173が業務用であり、残りがレクリエーション用です。情報インフラとして定着しつつあるこのサイトのおかげで、部門の壁を越えた従業員間での情報交換や議論が活発に行われるようになりました。この他にも、ジョンソン・エンド・ジョンソン、人材サービス大手のインテリジェンスなども社内ブログや社内SNSを導入し、成果を上げています。

高度な技術や知識、ノウハウを蓄積してきた団塊世代が続々と退職期を迎える昨今、多くの企業にとってノウフーシステムの構築は喫緊の課題といえるでしょう。