「CDP(career development program)」とは、企業が従業員を育成するプログラムの一つで、個人の適性・希望を考慮しながら、教育研修や配属先を決定し、従業員の能力を最大化するための長期的なプログラムです。
企業が準備した研修プログラムのみではなく、従業員が自主的に取り組める機会を設けることもCDPでの重要なポイントといえます。
昨今、グローバル化やM&Aによる事業拡大・撤廃などの劇的な環境変化の中で、従業員をどう持続的に成長させていくかが、各企業の課題となっています。CDPの例としては、企業が用意した応募制の研修、カフェテリア型研修(福利厚生がポイント化されており、自分の持ちポイント内で企業内外の研修を受けられる)、FA制度(一定の業績を残した従業員が異動希望先の部署の長に対して直接異動の申し出を行える制度)などが挙げられ、企業は、従業員の個性をどのように伸ばしていけば、企業の求める人材像、人員計画に近づけるかを課題とし、従業員は、自らが成長するには、どのような能力を身につける必要があるかを見いだせます。育成的な人事異動やOJT、社外での自己啓発も含めた多様な実践と組み合わせて、総合的に能力・職務開発を進めることが必要です。
企業側は、従業員の将来的な目標を設定し、目標の実現に向けて様々な経験を積ませるアプローチをします。一方、従業員は、能動的教育研修を行う、決められた能力開発プログラムに従うだけではなく、自らの価値観や考え方、目指すべき目標達成のために主体的に能力開発していく必要があります。
効果的なCDPの実現には、(1)企業の求める人材像や人員計画に基づいた研修などの教育プログラムを複数の選択肢を与え、設計・提供されること(2)従業員にキャリアを考えさせる機会が与え、上司とともに、その適正や希望をすりあわせ、反映しながら教育と配属が行われること(3)人材情報の蓄積・管理を行い毎年または数年おきにフォローを行い必要ならば軌道修正を行われることが必要とされる。
しかし、このCDP制度も、グローバル化や不況で、力を入れて設定したものの、形骸化してしまう例が多くある。CDPを形骸化せず、効果的に活かすためには、個人の自立学習を加速し、組織・職場単位での相互研磨を誘発し、会社の成長と社員の成長をより頑強かつ柔軟にリンクさせるCDP制度の設定をしていくといいでしょう。軸足を「社外」へと意識し、業界標準的なスキルの重点的評価も重要なポイントとなります。従業員へのフォローとしては、身近な存在のロールモデル化も効果的です。
雲の上をつかむようなハイレベルな人物をロールモデルとするよりは、実在社員をロールモデルとして、相互に動機づけられることも脱・形骸化のポイントの一つです。また、従業員のモニタリングをしっかり行うことも大切で、従業員の行動変容や育成課題の解消度合い、実践における活用度など、変化に対して、少しずつでも着実に制度の改善を実施しましょう。流動的な経済状況の中で、ブレない軸をどこに置くか、CDPの効果的に活用することで、人材の流動化を防ぎ、会社の成長へと繋がっていくでしょう。