「リシュ面」とは、「履修履歴面接」を略したもので、最近広がり始めている企業の新しい採用面接手法を指す言葉。

採用選考において、成績証明書など学生が大学で履修してきた科目とその成績がわかる履歴の提出を求め、面接官がそれに沿って学生への質問を行っていくのがリシュ面です。

従来のエントリーシートに沿った面接では、「学生時代に打ち込んだこと」や「志望動機」などについて質問することがメインでした。ただ、前者については、サークル活動、アルバイト、ボランティア活動といった“定番”的な内容が多い上、学生本人がやりたいことや得意なことにどう打ち込んだかという内容に終始しがちです。面接官の印象を良くするために脚色や誇張を行うことも、比較的容易でしょう。後者についても、自己PRを絡めたストーリーを周到に組み立てて記述され、何を聞かれるかを想定して対策を考えているため、その学生の本当の姿に迫ることが困難でした。結果として、「どの学生も同じように見える」、「自社に本当に合った学生を見つけることが難しく、ミスマッチが増える」といった採用担当者の悩みにつながっていたと言えます。

一方、リシュ面では、必ずしも本人がやりたいことばかりではなく、不得意なことも含まれる大学での学業に関して、学生がどのように考え、行動したかを質問していきます。必ずしもやりたくないこと、不得意なことにも取り組まなければならないのは、企業での実際の仕事と同じです。

したがって、将来、その学生が自社で仕事に取り組むとき、どのように考え、行動するかを、リシュ面を通じて推測することが可能になるわけです。また、成績表が目の前にあり、授業の内容も大学のシラバスを検索すればすぐにわかるため、自分を良く見せようと脚色や誇張を行うことも簡単ではありません。

質問内容としては、例えば、「グローバルコミュニケーション論は、どのようなことを学ぶ授業でしたか。印象深かったことは?」、「出席してみると予想以上に面白かった授業と、その逆の授業はどれですか。理由も教えてください」、「この科目の成績は上がり、この科目の成績は下がっていますが、理由は何だと考えていますか?」、「後輩に履修を勧めたい科目はどれですか。その理由は?」といった内容が挙げられるでしょう。

また、新卒採用における企業の「履修履歴活用」を推進する動きも活発になっています。国内の主だった就職採用支援事業者が共同で一般社団法人 履修履歴活用コンソーシアムを設立。2018年に「リシュ活」というWebサービスを立ち上げました。

リシュ活の仕組みは、学生の登録した履修履歴データを、企業が条件に応じて検索し、該当する学生にオファーメッセージを送信できるというものです。

経団連も2018年12月4日付文書で企業に対して「働き手の学修履歴や職務経験などを適切に評価し、活用することが求められる」と示しており、今後も採用における履修履歴の活用が広がると見てよいでしょう。