前回は、就職活動を行った大学生、大学院生4742名(調査期間:2011年6月22日~6月30日)の調査から活動に直結するデータを抽出して紹介した。
今回は就職できなかった場合の学生の考え、ソーシャルメディアやスマートフォンの利用状況、そして「印象のいい」「印象の悪い」エントリーシート、説明会、面接について紹介する。
今回は就職できなかった場合の学生の考え、ソーシャルメディアやスマートフォンの利用状況、そして「印象のいい」「印象の悪い」エントリーシート、説明会、面接について紹介する。
就職先が決まらない学生
未内定のまま卒業せざるをえない学生が社会問題化している。そこで今回の調査では「就職先が決まらなかったらどうするか」を学生に聞いてみた。最も多いのは「卒業して新卒枠での就職活動を継続する」。文系で36%、理系で31%である。確かに「卒業生の新卒枠応募」を認める企業はあるが、採用に至るケースは少ない。「就職留年をして就職活動を継続する」は文系18%、理系15%。就職留年を支援する大学は増えている。
「進学する」は、主として学部生が修士としてあらためて就職活動するという意味(一部には、専門学校等への進学が含まれると推測される)だが、文系は8%と少なく、理系は23%と多い。文系の場合、もともと大学院進学者が少なく、進学しても企業から評価されることが少ない。
図表1:就職先が決まらなかったら
ソーシャルメディアの利用状況
就職活動と採用活動の双方でソーシャルメディアの利用が話題になっている。実際に調べてみると、利用しているのは文系4割、理系3割。活用学生は少数派にとどまっている。この少数派学生を「活用している学生は情報感度やITリテラシーが高い」と評価する企業もある。文理ともに、mixiよりもTwitterの利用が上回っている。Facebookはまだ普及していない。ただし採用PRで、FacebookやTwitterを使う企業は確実に増加するので、スマートフォンの普及とともに一気に利用が拡大する可能性は高い。
図表2:ソーシャルメディアの利用状況
ソーシャルメディアの利用目的は「友人との情報交換」
ソーシャルメディアの利用目的は、文系、理系ともに同じ傾向を示している。主目的は「友人との情報交換」、次いで「他の就活生からの情報収集」。こういう守りの使い方もできるが、実名登録が原則のFacebookは企業情報を得ることもできるし、大学のOB/OG探しに使うこともでき、攻めの就活の有力な武器である。積極的な学生は利用するだろう。
そして企業の利用が増えてくれば、学生は活用せざるをえなくなるだろう。
図表3:ソーシャルメディアの利用目的
増大するスマートフォン利用学生
いつでもどこでもすぐにネットにアクセスできる利便性が受けて、スマートフォンの利用は大きく伸びている。スマートフォンを利用する学生は48%で、携帯とスマートフォンの両方を使い分けている学生も11%いる。文系学生はiPhone端末の利用者が圧倒的に多いが、理系学生にはAndroid端末もほぼ同程度利用されている。グラフではわからないが、大学グループ別に見てみると国公立大生のスマートフォン利用率は、私立大生と比べてかなり低くなっている。
図表4:スマートフォン、携帯電話利用状況
「印象に残る」エントリーシート
今年の調査では学生に「印象に残るエントリーシート」を聞いた。10位以内に、全日空(ANA)、資生堂、カゴメ、電通、旭化成、サントリーホールディングスの6社が、文理の双方に名を連ねている。「印象に残る」ことはプラス評価のものだけではない。「設問数が多かった」「キャビンアテンダントの写真があった」「自由度が高いほぼ白紙の回答欄」など、印象に残った理由はさまざまだ。
ただ学生のフリーコメントを読むと、ヘンな質問に対して悪意は抱いていない。たとえば「ありきたりで平凡な質問はほとんどなく、私という人格をより良く判断するために良く練られた質問」と好意的だ。
「印象のよい」「印象の悪い」説明会、面接官
「印象のよい説明会」と「印象の悪い説明会」、「印象のよい面接官」と「印象の悪い面接官」について聞いてみた。「印象のよい」理由を読むと、「親切」「たくさんの社員」「熱意」「感動」「気さく」「刺激」「真摯」などのキーワードが並ぶ。これらのワードに共通するのは「共感」。「共感」の源泉は社員であり、社員と話すイベントは高評価である。
スムーズなプログラムと運営も評価要因だ。また今回の調査では、東日本大震災に言及したコメントが多い。ある学生は震災時の説明会に参加していたが「帰れなくなった学生を、親身になって対応してくれました」と書いている。「印象の悪い」理由は、上記と反対。「上から目線」「学生を馬鹿にしている」などが並んでいる。
面接官に関しては、「自分の良さを引き出してくれる」面接官に好印象を持っているようである。
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