“ゆとり世代”から派生し、若者層を指すキーワードとして定着しつつある“さとり世代”。「高望みをしない」「車やブランド品などの高級品を欲しがらない」「気の合う人たちとだけ付き合う」「恋愛に淡泊」などといわれていますが、彼・彼女らはどんなアルバイトを選ぶ傾向があるのでしょう? その心に響く求人広告とは? 定着してもらうための環境作りの方法って? さとり世代の特徴と働き方について、若者の動向に詳しい「電通若者研究所」の研究員・西井美保子さんに伺いました。

“さとり世代”の定義とは

第14回 アルバイト界の若い戦力“さとり世代”って何だ?
いまやメジャーな言葉になりつつある “さとり世代”。語感から“さとり世代”とも混同されがちですが、“さとり世代”とは、もっと広義の言葉で“さとり世代”を含む若者層を指します。つまり、アルバイト界を担う若いスタッフたちはこの世代に該当するのです。

彼・彼女たちは「堅実で、高望みせず、恋愛にもガツガツしない」など、まるで悟っているような意識を持っているため、さとり世代と呼ばれています。では、アルバイトに関するさとり世代の特徴には、どんなものがあるのでしょうか。彼・彼女たちの育った背景とともに見ていきましょう。

自分の未来に不安を感じ、将来の実利を考えて行動する

この世代が生まれたのは、時代が昭和から平成に大きく変わった時期です。物心がついた時には、すでにバブルが崩壊。その後もITバブル崩壊、リーマンショックと続く長い不況のさなかで育ちました。家庭でも親の財布のヒモは固く、限られたお金や物で楽しまざるを得なかった世代です。

そのため、さとり世代は将来への不安を強く感じています。2013年の電通による調査では、大学生のおよそ80%が将来について「不安」だと答えています。目先の大学受験より、大学卒業後の就活が不安だという声もあり、一歩先より、二歩先、三歩先を見据えて動く傾向があります。

背景から読み解くさとり世代の特徴 その1
●継続する不況(バブル崩壊、ITバブル崩壊、リーマンショックなど)

→将来への不安を感じている/先の先を読んで行動する

「競争」より「協調」を重視する!

第14回 アルバイト界の若い戦力“さとり世代”って何だ?
「ゆとり教育」が完全移行した2002年、学校はつめこみ型の偏差値教育を避けるべく、テスト結果や成績ランキングなどの公表を伏せるようになりました。大学の入試状況も推薦やAO入試が増えるなど、競争のハードルは著しく下がっています。

こうして競争の少ない環境で育ったさとり世代は、「競争」が苦手です。また、叱られ慣れていないため、ちょっと叱責されただけでもショックを受けてしまいます。

一方で、人とのつながりに喜びを感じ、和を重んじるため、協調性はバツグン。特に自分の居場所(=「内輪」)を大切にしています。さらに、所属するグループをいくつか持ち、グループに合わせて「自虐キャラ」「突っ込みキャラ」など、自分のキャラクターを悪意なく使い分けます。「内輪」と「それ以外」を明確に線引きして行動するのも、さとり世代の特徴の1つです。

背景から読み解くさとり世代の特徴 その2
●教育の変化(ゆとり教育の実施)

→競争や叱責に慣れていない/協調性が高い/内輪を重視する

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