【ショート講演、パネリスト】
伊藤忠商事株式会社 人事・総務部 企画統轄室長 垣見 俊之氏
株式会社フィリップスエレクトロニクスジャパン 人事総務本部長 水上 雅人氏
株式会社ワールド 執行役員 人事統括部長 寺川 尚人氏
モデレーター:HRプロ 代表 /HR総合調査研究所 所長 寺澤 康介
伊藤忠商事株式会社 人事・総務部 企画統轄室長 垣見 俊之氏
株式会社フィリップスエレクトロニクスジャパン 人事総務本部長 水上 雅人氏
株式会社ワールド 執行役員 人事統括部長 寺川 尚人氏
モデレーター:HRプロ 代表 /HR総合調査研究所 所長 寺澤 康介
最初に行われたのはパネリスト3氏によるショート講演。垣見氏は、多様なビジネスをグローバルに展開する総合商社、伊藤忠商事の組織変革と人材マネジメントの取り組みを、3つの具体例を挙げて紹介した。
1つめは1997年から敷くディビジョンカンパニー制。 社内資本金と人材を含む資産を6つのカンパニーに分配するとともに権限委譲と責任の明確化を行い、スピード経営と組織の活性化を図っている。2つめは2007年に本格始動させたグローバル人材戦略。全世界で約2700の重要ポジションの人事データをクラウドベースでシステム化し、優秀人材の特定とサクセッションプランの実施、グローバルベースでの人材流動化、活性化を実現させている。
1つめは1997年から敷くディビジョンカンパニー制。 社内資本金と人材を含む資産を6つのカンパニーに分配するとともに権限委譲と責任の明確化を行い、スピード経営と組織の活性化を図っている。2つめは2007年に本格始動させたグローバル人材戦略。全世界で約2700の重要ポジションの人事データをクラウドベースでシステム化し、優秀人材の特定とサクセッションプランの実施、グローバルベースでの人材流動化、活性化を実現させている。
3つめは社内委員会(会議)と資料の削減。「会議を減らし、現場に足を運べ」というトップの方針の下、会議の削減・効率化と作成資料を徹底的に減らした。役員会議では総会議時間を1年で4割削減したという。「特にここ2年間は現場力強化をキーワードとしてさまざまな施策を打ち、組織を変えてきた」と垣見氏は語った。
オランダに本社を置くグローバル企業、フィリップスの人事戦略について述べたのが水上氏。一時期、業績が低迷した同社では、事業売却を含む大胆な経営改革を行い、V字回復を遂げているが、継続的な成長発展のための経営課題として、組織や風土面も含む変革をグローバルで進めており、日本法人でもこの変革を推進中だ。具体的には、同社では「Eager to win(勝利にこだわる)」、「Take ownership(自ら着手し責任を全うする)」、「Team up to excel(卓越したチームをつくる)」という3つからなる「Our behaviors」を詳細に定め、これらを全世界の職場で実行していく取り組みを展開。
「まずリーダーから変わる」という考えの下、世界で700人のリーダー層を対象に「Our Behaviors」が日常の場面で実行できているかを見るための360度評価を実施し、その結果も踏まえた形のトレーニングを行っている。「そのほかにも、よりビジネスに直結するリーダーシップパイプラインの再構築など、新しい施策を実行し始めている」と水上氏は説明した。
「まずリーダーから変わる」という考えの下、世界で700人のリーダー層を対象に「Our Behaviors」が日常の場面で実行できているかを見るための360度評価を実施し、その結果も踏まえた形のトレーニングを行っている。「そのほかにも、よりビジネスに直結するリーダーシップパイプラインの再構築など、新しい施策を実行し始めている」と水上氏は説明した。
現職に就任するまでソニーで長く人事・労務畑を歩んだ寺川氏は、これまでの経験をもとに、経営戦略と人事・組織開発戦略の連動について考えを述べた。
同社在籍時、60の事業立ち上げに人事の立場で携わった寺川氏は、「現行のビジネスはいつか陳腐化するという前提で考えると、企業が継続的に発展するためには新しい事業を作り続けることが生命線になる」と話し、常に新しい事業が立ち上がっていく仕掛け作りの重要性を指摘。そのためには人事が経営と連動し、事業戦略と人事・組織戦略を一致させることが鍵になると強調したうえ、「事業のフェーズが違えば、必要な人材像も、評価軸も変わる。同じ発想でやっても意味がない」と説いた。また、企業が新しい事業を作り、変わり続けていくためには「戦略と変革の一体化」や「変革のリーダーシップを持つ人材」が欠かせないと述べ、「事業を作っていこうとリスクを取って仕事をする社員の価値を社内で正当に評価することが大切だ」と語った。
同社在籍時、60の事業立ち上げに人事の立場で携わった寺川氏は、「現行のビジネスはいつか陳腐化するという前提で考えると、企業が継続的に発展するためには新しい事業を作り続けることが生命線になる」と話し、常に新しい事業が立ち上がっていく仕掛け作りの重要性を指摘。そのためには人事が経営と連動し、事業戦略と人事・組織戦略を一致させることが鍵になると強調したうえ、「事業のフェーズが違えば、必要な人材像も、評価軸も変わる。同じ発想でやっても意味がない」と説いた。また、企業が新しい事業を作り、変わり続けていくためには「戦略と変革の一体化」や「変革のリーダーシップを持つ人材」が欠かせないと述べ、「事業を作っていこうとリスクを取って仕事をする社員の価値を社内で正当に評価することが大切だ」と語った。
パネルディスカッションでは、組織を変革し活性化する人材マネジメントのあり方や実践をめぐり、ビジネスの最前線からのリアルな現状報告や課題考察が行われるなか、企業ごと、事業ごとに異なるビジネスモデルに即した人事戦略や、人事が常に経営と連携して動く重要性が浮き彫りにされた。また、寺澤が会場の参加者に「日本の企業の人事が今後大きく変わるべきだと思うか、思わないか、どちらでもないか、青・赤・黄のカードで示して欲しい」と求めると、挙がった色はほとんど青一色。この結果から、参加者同士が「では、どう変わるべきか」について各テーブルでディスカッションを行った。さらに質疑応答では、参加者からの「変えるべきところと変えるべきでないところをどう考えるか」という質問に対し、寺川氏が「そこを間違えると会社はだめになる」と答えるなど、多様な角度から議論が深められた。
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