ここ数年、企業の人事・教育領域における重要な課題として、「管理職層のマネジメント能力向上」を挙げる声が非常に大きくなってきた。企業が経営戦略を実現するにあたって実務を担うのは現場であり、現場に落とし込まれた戦略の実行を、管理職が部下やメンバーを巻き込んでやりきる必要がある。そこが必ずしも十分にできていないという問題意識があるからこそ、この課題が重要視されているのではないかと感じている。
「現場力強化の鍵を握る管理者育成の方向性」
  当社では、2012年10月、企業の教育担当者約80名にご参加いただき、「強い課長をつくる」をテーマとしたフォーラムを開催した。その際に実施したアンケートでは、求める“強い課長”像として、新たな利益を生み出すテーマを探索し、ありたい姿と戦略課題を設定するといった改革型の管理職像が浮かび上がった。一般的な管理職の課題として、「管理職がプレイヤー化している」、「戦略的な視点がない」、「部下を育てられない」といわれている中で、求める姿と現実とのギャップに大きな開きがあることが明らかになった。しかし、そうした状況下で、課長をどう育成しているかというと、新任課長以外の教育はほとんど行われていないのが現状で、「何が必要なのかわからず、教育テーマが設定できない」、「管理職は忙しく、時間が取れない」、「実績やプライドに配慮が必要で、他階層に比べ気を遣う」といったことが育成の障害になり、なかなか思うような取り組みができないとの声が多かった。
「現場力強化の鍵を握る管理者育成の方向性」
  こうした現実のなかで、では、管理職が成長するのはどういうときなのかをあらためて考えたい。たとえば、その成長は、新しい商品を開発して市場に投入し拡販していく、あるいは、新規事業を立ち上げるといった挑戦的な目標を達成するなかで実現されるのではないか。私自身も、以前、在籍した化学メーカーで人事の立場から新規事業と工場の立ち上げに携わったが、てんてこ舞いしながら立ち上げを完遂しようと頑張った当時のメンバーは、みな、その後、一皮剥けて、大きく成長したなと感じた経験がある。管理職になる前まではこうしたOJTを中心とした、研修やローテーションなどの成長を促す機会が与えられている。管理職の成長も同様で、仕事を通していままでできなかったことができるようになり、知識、スキルが身につくという経験が重要だ。しかし、上記のアンケートの結果からも見られるように、管理職になると成長のための刺激を外部から与えられる機会が極端に少なくなる。従って、人事・教育担当者にとっては、管理職が仕事を通して成長できる場面をどれだけ作れるか、そういう場面を支援できるようなかかわり方がどうすればできるかが大きなテーマではないかと感じている。
例を挙げれば、どのような現場で管理職がどのような困難を抱えているかを知り、その解決を支援するといった、個別で具体的な支援だ。また、社内の人事制度や仕組みを変える、社員の仕事の進め方やコミュニケーションなど行動面を変えるといった取り組みを通じて、外側から支援する方法もあるだろう。
「現場力強化の鍵を握る管理者育成の方向性」
  管理職の成長支援は、現場で行う毎日の仕事を軸に成長を考えるということがポイントであり、そのために人事・教育部門に求められることは、これまで以上に事業やビジネスを知り、現場に入り込み、戦略の実現を支援することだ。しかし、管理職育成の現実を見ると、そのような取り組みが行われている企業はまだ多いとはいえないようだ。当社が企業の教育担当者を対象に実施した前出のアンケートでお聞きしたところ、管理職の育成方法は圧倒的に「研修が中心」であり、課長教育の企画・実施にあたって懸念される事項として、「現場の実態がよくつかめていない」という声が多く挙がっていた。

 このような現状やニーズを踏まえて、私どもは管理職にフォーカスした教育体系を整備し、多くの企業にご提供している。企業ごとの現場の実態、経営の方向性に沿って、管理職に求める姿を再定義し、“研修”体系ではない“教育”体系作りをお手伝いしていることが特色だ。また、管理職個々に異なる環境を作り、「言い訳できない」場で、自分と向き合いながら本気で学んでいただける新しい研修プログラムの開発・実施に取り組んでいる。ご活用いただければ幸いだ。

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