山本敏行 著
ソフトバンククリエイティブ 1,470円
ソフトバンククリエイティブ 1,470円
著者が代表を務めるEC studioは、リンクアンドモチベーションの組織診断で2年連続「社員満足度が高い会社」として日本一になった。そして2010年に日経ビジネスオンライン、ワールドビジネスサテライトで取り上げられたから、ご存じの人も多いだろう。
本書のタイトルに「非常識」とあるが、なるほど従来の企業常識から逸脱した会社である。オフィスに電話がない、紙がない。顧客に会わない、電話を受けない。コールセンターはなくメールサポートに限定し、20万以上の顧客に対し5名で対応。社員全員にiPhoneを支給し、顧客企業にはPSP3を無償提供してテレビ会議ができるようにする。
一見すると非常識に見えるが、著者の説明を読むと、IT時代にはきわめて合理的であることがわかる。
ふつうの企業は仕事を取ってくるためには営業が不可欠だと考えている。どの企業でも営業マンはノルマ達成に追われている。ところがEC studioの形態を取ると、営業マンがいらない。業務スタッフは電話対応する必要がないから仕事に集中できる。
ではどうやって営業しているのかというと、Webだ。Webなら中小企業は大企業と対等に戦うことができる。
Webサイトを閲覧する人はほとんどが検索エンジンを介して入ってくる。その検索エンジンからの集客を増やす方法はブログ。ブログに商品やサービスについての思いや開発秘話の記事を継続的に追加し続けていくことによって、ブログ記事内のキーワードが増え、まるで蜘蛛の巣を貼るように検索エンジンからの流入が増えるのだという。
YouTubeも集客に利用している。著者によれば、15分以内の動画が見られるYouTubeは娯楽のイメージが強いが、じつは検索エンジンとしてもGoogleに次いで2位。検索回数が多ければ、その検索から自社サイトに誘導できるということだ。
画像やテキストでは表現できないことを動画は伝えることができるので、成約率は高いらしい。
Ustreamというインターネットライブ中継サービスも使っている。Twitterと連動して質疑応答できるため参加者の満足度が高いのだという。
EC studioのサイトには「EC studioのしないこと14カ条」が掲載されている。おもしろい内容なので、紹介しておく。
①ITを活用できないことはしない
②株式公開しない
③他人資本は入れない
④経営理念を共感いただける会社としか取引しない
⑤経営理念に沿わないビジネスはしない
⑥特定の組織に所属しない
⑦スタッフをクビにしない
⑧売上目標に固執しない
⑨サービス向上に妥協しない
⑩守りに入らない
⑪高価格なサービスは提供しない
⑫会社規模を追求しない
⑬日本にプラスにならない事業はしない
⑭日本市場だけにこだわらない
それぞれの項目には考え方の説明がある。興味のある人はEC studioのサイトを見るか、本書を買って読んでもらいたい。
最終章「モチベーションと利益が劇的に高まるITツール活用法」は、多くの職場で役立つ知恵が満載されている。著者は「ITが時間を何倍にも増やすことができる」と確信しており、EC studioで実践している方法を説明している。
Googleにはさまざまなサービスがあり、GmailやGoogleカレンダーを利用している人は多い。しかしGoogleドキュメント、Googleビデオまで活用している人は少ないと思う。Googleサービスはその他にもあり、EC studioはすべてを使い倒している。
「会議の参加人数は4人まで」もおもしろい。会議の効率化を工夫している企業は多いだろうが、人数を制限するという発想はなかったのではないか。4人が妥当なのかどうかは別にして、人数を制限すれば、進行も早くなるし、会議の数自体が減るだろう。
「デュアルモニターで40%の作業効率アップ」も重要な指摘だ。IT業界、金融業界ではデュアルモニターは当たり前で、3台、4台のモニターを使うこともあるが、一般企業のオフィスでは1台のモニターが普通。しかもノートパソコンのことが多い。
本書には「シングルモニターに比較してデュアルモニターは作業効率が40%向上する」と書かれているが、デュアルにしている企業は少ない。モニター1台2万円。社員の作業効率が40%上がるなら、本当に安い投資だと思う。ちなみにわたしは10年以上前からデュアルモニターでパソコンを使ってきた。
初耳だったが、本書によればプレイステーション(ソニーのゲーム機)でテレビ会議システムを構築できるそうだ。1台約3万円だが、6拠点まで同時接続できるそうだ(もちろん6台必要になる)。EC studioでは50インチのテレビを大阪本社と東京支社で常時接続している。
もちろんビジネスにも使っている。商談する全国と海外の取引先にプレイステーションを贈呈して、テレビ会議を行っている。だから「出張がない」「顧客と会わない」という非常識が可能になるのだ。
EC studioの取引先は中小企業であり、本書で紹介されているツールを販売している。社員100人以下の企業でとくに効果があるらしい。しかし内容を読んでみると、大企業でも有効だと思う。また即座に導入できそうだ。
本書を読んで、自社に導入できそうなシステムを検討してみてはいかがだろう?
本書のタイトルに「非常識」とあるが、なるほど従来の企業常識から逸脱した会社である。オフィスに電話がない、紙がない。顧客に会わない、電話を受けない。コールセンターはなくメールサポートに限定し、20万以上の顧客に対し5名で対応。社員全員にiPhoneを支給し、顧客企業にはPSP3を無償提供してテレビ会議ができるようにする。
一見すると非常識に見えるが、著者の説明を読むと、IT時代にはきわめて合理的であることがわかる。
ふつうの企業は仕事を取ってくるためには営業が不可欠だと考えている。どの企業でも営業マンはノルマ達成に追われている。ところがEC studioの形態を取ると、営業マンがいらない。業務スタッフは電話対応する必要がないから仕事に集中できる。
ではどうやって営業しているのかというと、Webだ。Webなら中小企業は大企業と対等に戦うことができる。
Webサイトを閲覧する人はほとんどが検索エンジンを介して入ってくる。その検索エンジンからの集客を増やす方法はブログ。ブログに商品やサービスについての思いや開発秘話の記事を継続的に追加し続けていくことによって、ブログ記事内のキーワードが増え、まるで蜘蛛の巣を貼るように検索エンジンからの流入が増えるのだという。
YouTubeも集客に利用している。著者によれば、15分以内の動画が見られるYouTubeは娯楽のイメージが強いが、じつは検索エンジンとしてもGoogleに次いで2位。検索回数が多ければ、その検索から自社サイトに誘導できるということだ。
画像やテキストでは表現できないことを動画は伝えることができるので、成約率は高いらしい。
Ustreamというインターネットライブ中継サービスも使っている。Twitterと連動して質疑応答できるため参加者の満足度が高いのだという。
EC studioのサイトには「EC studioのしないこと14カ条」が掲載されている。おもしろい内容なので、紹介しておく。
①ITを活用できないことはしない
②株式公開しない
③他人資本は入れない
④経営理念を共感いただける会社としか取引しない
⑤経営理念に沿わないビジネスはしない
⑥特定の組織に所属しない
⑦スタッフをクビにしない
⑧売上目標に固執しない
⑨サービス向上に妥協しない
⑩守りに入らない
⑪高価格なサービスは提供しない
⑫会社規模を追求しない
⑬日本にプラスにならない事業はしない
⑭日本市場だけにこだわらない
それぞれの項目には考え方の説明がある。興味のある人はEC studioのサイトを見るか、本書を買って読んでもらいたい。
最終章「モチベーションと利益が劇的に高まるITツール活用法」は、多くの職場で役立つ知恵が満載されている。著者は「ITが時間を何倍にも増やすことができる」と確信しており、EC studioで実践している方法を説明している。
Googleにはさまざまなサービスがあり、GmailやGoogleカレンダーを利用している人は多い。しかしGoogleドキュメント、Googleビデオまで活用している人は少ないと思う。Googleサービスはその他にもあり、EC studioはすべてを使い倒している。
「会議の参加人数は4人まで」もおもしろい。会議の効率化を工夫している企業は多いだろうが、人数を制限するという発想はなかったのではないか。4人が妥当なのかどうかは別にして、人数を制限すれば、進行も早くなるし、会議の数自体が減るだろう。
「デュアルモニターで40%の作業効率アップ」も重要な指摘だ。IT業界、金融業界ではデュアルモニターは当たり前で、3台、4台のモニターを使うこともあるが、一般企業のオフィスでは1台のモニターが普通。しかもノートパソコンのことが多い。
本書には「シングルモニターに比較してデュアルモニターは作業効率が40%向上する」と書かれているが、デュアルにしている企業は少ない。モニター1台2万円。社員の作業効率が40%上がるなら、本当に安い投資だと思う。ちなみにわたしは10年以上前からデュアルモニターでパソコンを使ってきた。
初耳だったが、本書によればプレイステーション(ソニーのゲーム機)でテレビ会議システムを構築できるそうだ。1台約3万円だが、6拠点まで同時接続できるそうだ(もちろん6台必要になる)。EC studioでは50インチのテレビを大阪本社と東京支社で常時接続している。
もちろんビジネスにも使っている。商談する全国と海外の取引先にプレイステーションを贈呈して、テレビ会議を行っている。だから「出張がない」「顧客と会わない」という非常識が可能になるのだ。
EC studioの取引先は中小企業であり、本書で紹介されているツールを販売している。社員100人以下の企業でとくに効果があるらしい。しかし内容を読んでみると、大企業でも有効だと思う。また即座に導入できそうだ。
本書を読んで、自社に導入できそうなシステムを検討してみてはいかがだろう?
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