増永寛之著
ダイヤモンド社
1,050円
Twitter就活
2011年卒採用と2012年卒採用を比較すると、いくつかの違いがある。まず2011年卒ではTwitterはほとんど使われていなかったし、スマートフォンの使用も限定的だった。しかし2012年卒では、学生の多くがスマートフォンを購入し、情報収集と発信のためにTwitterを使っている。
採用にTwitterを使う企業も増え始めた。とはいえまだ使っていない企業の方が多数派だろう。しかしこれからTwitter就活・採活は常識になる可能性が高い。そこで「Twitter就活」を紹介したい。ボリュームは180ページほどで軽量の本。通勤の社内であっという間に読み終えることができる。
著者の増永寛之氏は株式会社ライブレボリューションの社長。同社では採用にTwitterを活用し、会社の公式Twitterアカウントに加え、全社員のアカウントも公開している。そのTwitter採用の経験から、就活生にTwitter就活ノウハウを伝授するのが本書である。

内容のほとんどは就活生向けだが、「Twitter就活は本名が基本」「顔写真はすべて同じものを使う」「自己紹介は数字と固有名詞で具体的に書く」などはこれからTwitter採活を始める企業にとっても有益だろう。
 最終章では「企業・採用担当者のTwitter活用法」が取り上げられている。企業がTwitterアカウントを取得してもいいし、人事担当者が取得して始めてもいい。Twitterを採用に使うこと自体はむずかしくない。本書を読んでもいいし、Web上にもTwitterの解説はたくさんある。

Twitterだけでなく、他のSNS(ソーシャルネットワークサービス)も使われている。1月13日のワールドビジネスサテライト(テレビ東京)に岡崎仁美リクナビ編集長が登場し、「今年はソー活元年になる」と語っていた。「ソー」は「ソーシャルネットワークサービス」の「ソー」、「活」は「就職活動の「活」だ。また「ソー」は「双方向」の「双」でもある。
たしかにその通り。リクナビ2012はFacebookと提携し、サービスを開始している。Facebookは全世界5億人の利用者を持つSNSだ。リクナビからの使い方は簡単。
まずリクナビの個人ページからフェースブックに会員登録する。
次に学校名と志望業界を選択。
そして同一の志望先との交流やOB/OG訪問などに活用。

IT企業の中には、一般応募枠とは別の「Facebook枠」を設けるところも出現している。動画サービスも使われている。YouTubeでは就職支援や企業説明のページがある。Ustreamを使う会社説明会ライブサービスを始めた採用支援会社もある。
学生はリアルな会社説明会ではおとなしく質問は少ないが、オンラインセミナーでは数十倍の質問が飛び出す。その質問はTwitterで説明する採用担当者に即座に届く。現在の段階では企業、就活生の双方にメリットが大きいようだ。とくに会社説明会に参加しにくい地方の就活生にはありがたいサービスだろう。

これらの双方向の「ソー活」は2012年卒採用で目立ち始めているが、2013年卒採用では無視できない存在になりそうだ。ただし「ソー活」の普及が就活・採活をどう変えていくのかについてはバラ色の展望ばかりではない。双方向コミュニケーションは良いように響くが、一方向に比べ要する労力は莫大だ。就活生にとっても採用担当者にとっても負荷が大きい。
いまでもWeb上の就職情報は膨大だが、「ソー活」では発信しないと埋もれてしまう。埋もれることを怖れて、みなが発信に狂奔したらどうなるのだろうか?
いろんなシミュレーションが可能だが、まだ「ソー活」の未来を予測できない。2013年卒就活・採活は、開始時期が少し変わりそうだが(業種や企業によって玉虫色?)、「ソー活」によって質が変わるかもしれない。
  • 1

この記事にリアクションをお願いします!