米Googleの傘下、ディープマインド社の囲碁ソフト『アルファ碁』が2017年5月に行われた中国ランキング1位の柯潔(カ・ケツ)九段に圧勝したとのニュースが流れた。2016年3月に韓国のイ・セドル九段に勝利した時はいい勝負であったが、今回のアルファ碁は人と違う次元に入ったことを印象付けた。この1年足らずの間に、AIが大きく進化し、活用があらゆるシーンで急速に広がり、身近になり始めている。同様に、企業の採用・人材管理といった領域においてもAI、ビッグデータ活用といったキーワードが頻繁に飛び交うようになっている。
2017年5月24日(水)TKP東京駅日本橋カンファレンスセンターにて「新卒採用にAIを入れるメリットとは? GROWの新卒採用支援セミナー」が開催され、Institution for a Global Society株式会社(IGS)代表取締役社長 福原正大氏が、「AIで採用の効率化と質の向上を提供するGROW新卒採用サービス」について講演した。人材獲得という喫緊の企業課題に対してテクノロジーを活用したソリューションはどのように利用されているのだろうか。
2017年5月24日(水)TKP東京駅日本橋カンファレンスセンターにて「新卒採用にAIを入れるメリットとは? GROWの新卒採用支援セミナー」が開催され、Institution for a Global Society株式会社(IGS)代表取締役社長 福原正大氏が、「AIで採用の効率化と質の向上を提供するGROW新卒採用サービス」について講演した。人材獲得という喫緊の企業課題に対してテクノロジーを活用したソリューションはどのように利用されているのだろうか。
学生をスクリーニングし、企業とマッチングする『GROW』
IGSが提供する『GROW』は、AIを活用した新しい就活のスクリーニングとマッチングサービスだ。学生は無料で登録でき、アプリを用いて『GROW』に登録している友人・知人にコンピテンシー(高い業績に結び付く行動や思考の特性)を他者評価してもらうとともに、潜在性格診断も実施する。結果は本人にフィードバックされるため、客観的に自分のコンピテンシーを知ることができる。また、『GROW』に集まったデータは分析・数値化され、AIを活用した企業のスクリーニングやマッチングサービスに使われる。サービスを開始してからわずか10カ月弱で、7万人の学生が登録、三菱商事をはじめとする多くの企業で導入が始まっている。小樽商科大学では就職活動のために上京する学生の負担を軽減することも目的の1つとして、現在『GROW』の全学導入が進んでいるという。
この『GROW』の根幹となるのが、「360度コンピテンシー評価」と国際機関でも採用されている「IAT」だ。
「360度コンピテンシー評価」は登録した学生が、コンピテンシーについて友人や知人から受けた評価のこと。これらは25の項目に分けられ、企業はその中から自社に則したコンピテンシーを選ぶことができる。
また、「IAT」は認知科学を応用したゲーム性を持った様々な仕掛けが用いられており、スマートフォン上の指の動きから、その人の性格がBIG5(世界で最も科学的な性格診断の1つ)で診断される。東京大学と共同研究し、特許も取得済みである。被験者がコントロールできない能力や性格が「超」がつくほど客観的に分析されるというわけだ。
これらの客観的な評価をもとに、企業が求める人材をAIがマッチングすることで、企業と人材のミスマッチを減らすことが可能なのだという。
『GROW』の評価について、福原氏は次のように語る。
「GROWは評価される側だけでなく、友人・知人といった『評価する人間』も見ています。評価者がどれだけ真摯に評価しているのか、また信ぴょう性が高いものになっているかを評価者のスマホ上の指の動きやスピードから計測します。よくありがちな「友達だから」と高評価をつける可能性も計算に入れています」
企業側のコンピテンシーを明らかにして、効率的で効果的な採用活用を
一般的に採用面接までのプロセスは、まず、学生からのエントリーシートを見て、WEBテスト等で絞り込み、最終的に面接をする、という流れが主流だが、そこには「問題がある」と福原氏は指摘する。「学生から多くのエントリシーシートが集まると、どうしても企業は学歴を見てしまう傾向にあります。しかし、学歴と企業が求めているコンピテンシーは必ずしも一致しません。実際、数万人のデータを元にした大学別コンピテンシーのデータをみると、・・・」
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