弊社、(株)セルムは2011年に中国に拠点(升励銘企業管理諮詢(上海)有限公司)をもち、6年が経ちました。「世界の工場」だった中国が「巨大市場」へと変貌を遂げ、そして「ニューノーマル(新常態)」に入っていくという大きな潮目の変化を、身体で感じてきた6年間だったと思っています。
その中で、変わる中国市場の中で日本企業が勝ち残るということは、グローバルで日本企業が勝ち残っていけるかどうかと同じ意味をもつと強く感じています。ダイナミックに変わる中国市場から選ばれ続ける企業であるために、現状にひるむことなく、今こそ本気で人材開発に取り組むべきです。
そこで今回は、この3点についての私の提言を述べさせていただきます。
その中で、変わる中国市場の中で日本企業が勝ち残るということは、グローバルで日本企業が勝ち残っていけるかどうかと同じ意味をもつと強く感じています。ダイナミックに変わる中国市場から選ばれ続ける企業であるために、現状にひるむことなく、今こそ本気で人材開発に取り組むべきです。
そこで今回は、この3点についての私の提言を述べさせていただきます。
1.「自社流」を研ぎ澄ます
ファーストリテイリングの柳井正社長は、2014年に「グローバル イズ ローカル、ローカル イズ グローバル」というスローガンを打ち出し、地域密着の<個店>しか生き残れない、と言っています。これは「自社の強みを徹底的に現地化する」ということと同義だと思います。日本が誇る超一流企業でも、日本の外に出れば数ある中の1社です。企業が自社の存在理由をきちんと見つめなおさないと海外では事業を拡げられないのは、ごく自然なことだといえます。
しかし言うは易しですが、中々難しいものであるのも事実でしょう。なぜ難しいかといえば、自社の強みを再定義する上で、それをどんな「心」で考えるか、によって全く違った答えに行き着いてしまうからです。
その心とは、相手に誠実に関心を寄せるという我々日本人の心です。
中国人や中国の社会に関心を持ち、リスペクトし、必要なら修正していく謙虚さを、我々日本人社員一人ひとりが持てるかどうかにかかっています。そういう心で、中国人社員をどんどん巻き込んで、自社のあり方を見つめなおさないと、中国人の社員、顧客、関係者の心に響かない、独りよがりや押し付けになってしまいます。
虚心坦懐に中国人の懐に飛び込める日本人リーダーと、その思いを受け止めてくれ、心から腹を割ってくれる信頼できる中国人リーダー。この両者のやりとりから生まれる「自社らしさ」が、今後の中国に根付く経営をしていくための初めの一歩だと思います。
2.本社のリソースを出動させてでも、現地の人材育成を支援する
日本GEの安渕聖司社長は、海外の社員や幹部を巻き込むコツとして、「まず何よりも<本社のトップ層が海外の社員を><わが社の人>として扱っているか?」が大切であると言っています。また、<わが社の人>として扱うためには、「日本に呼んで3日間は合宿状態で、彼らの意見を積極的に聞く一方で、わが社の概要、何を達成したい会社なのか、進出の決意、今後の進め方を徹底的に議論をするぐらいのことはすべきだ。(※)」と話しています。今、必要なのは、このような本気の施策だと思います。「現地のことは現地に任せる」というのは一見良いようですが、拠点のPLに責任を持っている現地経営陣にとってみれば、どうしても人材開発のコストを削りたくなってしまいます。業績に多少ブレーキがかかったと言って、それに合わせて人材育成予算を切り詰めてしまうと、この先の数年間で、ボディブローのように確実に会社の体力が奪われていきます。
こんな時こそ本社は、本社のリソースを出動させて、中国のリーダー達を支え、鼓舞すべきです。例えば、本社のトップマネジメントが日本に彼らを呼んであげる、またはトップマネジメント自らが中国に出向いて、現地の課題とチャンス、そして未来の夢について1日議論を交わす。さらに、本社の人事から、リーダー人材の開発施策を過去に立ち上げてきたベテラン幹部を、応援に送り込むことも大変有効だと思います。こうした人材が本社にいたら、期間限定のプロジェクトでもいいので、すぐに応援に行かせて欲しいと思います。
繰り返しますが、厳しい現地に人材育成、特に今後の成否を分けるリーダー人材開発を現地任せにしてはいけません。
今こそ本社のリソースを出動させるべきです。
※ 出典:DIAMOND ONLINE 「忙しすぎるトップは経営ができない」
3.人と職場の「見える化」を、中国人主導で取り組む
中国でリーダークラスの人材開発の現場に立ち会って感じるのは、現地のトップの課題認識と現場の社員の課題認識がこれほど大きく違うのか、ということです。しかし、考えてみればこうしたギャップが生まれるのは、当たり前のことです。現地の日本人幹部は、赴任者です。若い頃から中国で仕事をしてきたわけではありませんので、当然ながら、中国のビジネスの「肌感覚」がありません。一方で中国人の社員は、普段から経営の情報に密接に触れているわけではありませんし、言葉の壁もあって、日本人幹部の認識が十分にはわかりません。
さらにいえば、現在リーダーとなっている中国人は、中国が高速成長をしてきた時代にビジネス経験をつんできた人たちです。これからやるべきことについては、彼ら自身も悩んでいると思います。
そのような状況の中、これからの人材や組織に何か手を打っていこうとするとき、最も重要なのは「現場の声を丁寧に拾い上げること」です。しかも、それが単発の調査ではなく、現場の声を拾い続ける仕組みになっていなければ、今後の中国市場や人の意識の変化についていくことはできません。
そこで弊社では、現地の人・組織の資源の総点検をお手伝いすべく、従来の人材アセスメントプログラムに加えて新たに「組織チーム力サーベイ」(日本語、中国語、英語で可能)を開発いたしました。
中国人HRの皆さまと、職場の<チーム力>を見える化し、自らの職場を自ら良くしていく、という仕掛けを一緒に進めることで、人・組織の「見える化」をご支援したいと思っています。
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