学生には「顔を見せる就職」を、企業には「顔が見える採用」を提案

寺澤 就職ナビだけが悪いのではないと思います。責任の一端は企業にもあります。新卒採用でターゲット校を設定している企業が多いことはHR総研の調査でわかっていますが、「ターゲット校の開示ができないのなら、せめて採用実績校だけでも公開したらどうですか」というと判を押したように「とんでもない」と言うのです。

しかしターゲッティングは理があることで、間違っているわけではないのです。しかし言えない。大企業ほど言えない。こういうおかしな仕組みを全体で変えていかなくてはならないのですが、その先駆的な取り組みを釘崎さんは「職サークル」として15年間続けてこられました。

釘崎 職サークルのスタートは就職氷河期だった1998年の9月。企業と学生が形成するコミュニティが職サークルの目的でした。
学生には「顔を見せる就職」を、企業には「顔が見える採用」を提案しており、初期の協賛基準には「道義を重んじ、ウソのない誠実な採用を行なう会社であること」を掲げていました。とにかく情報開示を大切にすることを訴え続けていたんです。

職サークルの代表的なイベントに「月見塾」があります。床にビニールシートを敷いて車座に学生と企業人事が座ります。そこで一人ひとりがいろんな疑問、悩み、思いを語り合うのです。人事担当者さんには学生に対して、ひとりの社会人の先輩として、社会のリアルや働く人の本音を直接語ってもらっています。
またそこに参加される職サークル協賛企業様には、下記のような採用活動指針を宣言してもらっています。
1.ホンネの採用活動
・学生がビジネス・社会の実際を理解できるよう、企業側から胸襟を開きます。
2.人間的な採用活動
・連絡の期日など、約束を守ります。
・学生の視座に立ち、誠実に対応します。
3.公開する採用活動
・各選考の内容・目的を事前に公開します。
・会社情報・採用情報を徹底公開します。
ex.応募者数、採用プロセスと各ステップの受験者数、過去3年 間採用実績校、入社後3年間の新卒定着率など

企業側から胸襟を開き、学生に向き合うことで企業と学生の信頼関係がうまれる。それにより「学生よし、企業よし、社会よし」の三方よしの就職と採用の環境を生み出していきたいと考えているんです。

御茶ノ水駅徒歩2分の場所に8月開設される「きゃりプラ...

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